※学パロ












レムレスが学校を休んだ。珍しいこともあるんだなと思っただけで他には何も気にしなかった。次の日も学校を休んだ。俺の眉間にはしわが寄り、ポッカリと空いた席を見つめる。今夜くらいにメールでも送ってみようか。しかし、下校の時にはすっかり俺の記憶から消えてしまい、結局メールを送らなかった。またひょっこり復活するさ、と思った次の日も休みとなると、いよいよ心配になってきた。あの生真面目なレムレスがサボるわけないし、だからってこんなに風邪が長引くほど虚弱体質でもないはずだ。いつもつるんでいるメンバーの中にレムレスが居ないのは少しばかり寂しい。俺は携帯を取り出した。


《風邪は大丈夫か?ノートなら貸してやるから今はとりあえず寝とけ》


非常に簡素なメールを送る。律儀なレムレスはこれだけでも返信をくれる奴だったが、返信は来なかった。どうせ気付いていないのだろうと特に気にとめなかった。とうとうレムレスは一週間休んだ。返信は未だに来ない。クラスメートと喋りながら携帯をパコンパコン開けたり閉じたりしていると、担任が俺を呼んだ。今週は日直だから仕方ない。俺のクラスでは日直=雑用という暗黙のルールがいつの間にか出来上がっていた。もちろん、逆らうことは出来ない。俺は溜め息を吐き出しながら職員室に向かった。


「おー助かった助かった、ご苦労さん雑用係」

「いや、せめてそこは日直と言ってください。あの、レムレスのことなんですけど……なにかご存知ですか?」

「レムレスな……あー……」


レムレスの名を切り出した途端、担任は言葉を濁して横を向いた。そんな態度をとられたら気になってしまう。俺は身を乗り出して問い詰めた。しばらくは歯切れの悪い回答を繰り返していた担任だったが、ついに折れて話をしてくれた。思いがけない言葉に、俺は言葉を失った。


「彼は入院している」

(嘘、だろ?なあ――)

「まだ詳しくは私も知らないんだ。正式な判断が来たら、クラスのみんなにも言おうと思ってたんだがな……」

(嘘だと、言ってくれよ)


ハハ、と唇の端を上げる。こんなの冗談に決まってる。担任も「冗談だよ」と笑い始めると思っていた、望んでいた。しかし担任の暗く重い表情は変わらなかった。一時的に抱いた淡い期待は音を立ててみるみるしぼんでいく。まさかな、あのタフなレムレスが入院だなんて有り得ない。いつもみたいに「おはよう」って無駄に笑顔を振りまいて、奴の好きなお菓子をつまみ食いして――そうそう、CDを貸す約束もしてんだよ。入院なんて嘘だよなあ?ぐるぐるせわしく駆け回る思考と反して視界は真っ暗になった。










なあ、お前は今、なにしてるんだ?



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