※学パロ






夏空の下、そよぐ風に楽譜を飛ばされた。一旦吹くのを中断せざるを得なくなり、マウスピースから口を離して楽譜を追いかける。ふ、と自分の旋律は途切れても、遠くからは他の部員が吹く音が聞こえてきた。なんだか、この空間が心地良くて安心する。ああ、やっぱり僕は部活が好きなんだ。
たまたま顧問のアコール先生がそこを通り掛かり、楽譜を拾って手渡してくれた。「すみません、ありがとうございます」と微笑みながら受け取り、もう飛ばないようにクリップとチューナーで押さえ付ける。アコール先生もふわりと笑って校内に入っていった。
再びマウスピースをくわえ、息を吹き込む。楽器特有の音色が辺りに響き、校舎の壁や窓がとある一定の音程で軋んだ。僕の楽器は1オクターブ上のツェーに癖があり、試行錯誤しながら音程を合わせている。左小指を押さえてみたり、はたまた口で音幅を広げてみたり。それか、ちょこっとアレだけどビブラートをかけてみるとか。一番、ビブラートがかけやすい楽器なんだ。それぞれの楽器にはいろいろな可能性があるから、どんなに吹き込んでも飽きない。
今度はシェゾが通り掛かり、タオルを被って滴る汗を拭っていた。たしか運動部に入ってるんだよね。僕に気付いたのか、ふいと片手を上げて近寄ってきた。


「……よ、」

「今帰りなの?お疲れ様」

「ああ。お前も頑張れよ」

「ありがとう」


ニヘラと微笑み、シェゾを見送りながら髪をまとめる。やっぱり中庭は暑いなあ。立っているだけでも汗が頬を伝った。こんな中でも走り回っている運動部の人達に、心の底から尊敬する。正直、僕はそういうのに向いていないからね。
楽譜に並ぶ音符とにらめっこしたり、それに伴って指を動かしたり息の量を考えたり。メトロノームが止まったら巻き直して、再度挑戦する。この繰り返しが明日や明後日に繋がるんだ。楽しいなあと純粋に思う。そりゃ、酸欠で倒れたりするときもあるし上手くいかないこともあるけど、それ以上に楽しいという気持ちが勝っていた。だから僕は、ずっと部活を続けられたんだと思う。















(奏でるのは僕自身の旋律)

あ、また間違えちゃった



―――
完全に私得ですすみません……!レムレスが吹いているのは私の楽器だったりします。ちなみにアコール先生は吹部の顧問で、シェゾはバスケ部イメージ。でも別に部活入ってなくて家に直行でもいいと思う。




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