目覚まし、鳴った。うるさいまだねむいよ。布団にもぐったまま手を伸ばして、時計を探す。指先に触れたと思ったら、ベッドから時計が落ちたらしくて少し遠くからアラームの音がした。
(拾わなきゃ、めんどくさいなあ)
布団を引きずったまま、時計を探る。もう一度冷たいものが触れた。うるさい音も消えて、また寝ようとしたけど大切なことを思い出して飛び起きた。
「きょう、バレンタインデー!」
あんなに眠かったのに不思議だ。思い出した途端ばっちり目が覚めた。ぐだぐだうだうだしてから布団から出る、寒い。寝癖も気にしている暇は無かった。もそもそ着替えて、もそもそ歯磨き。口が開いてたらしくて、歯ブラシをくわえたままの口の端っこを歯磨き粉が流れた。
(わあ……ばっちい)
急いで拭う。そのまま口をゆすいで、顔洗い。寒い、冷たい。だけどお湯になるまで待てなかった。だって今ものすごく忙しいんだもん。エプロンを探して、装着。魔導で作ろうと思えば作れる。だけど、こういうことには気持ちを込めて作りたい。僕の、些細なポリシーです。
―――、気持ちを込めて。君が、大好きなの。どうか伝わりますように。
みんなに配る分と、君の分。みんなのは星の形で、君だけ特別なハートの形。かなり恥ずかしいけど。しょうがないよね、バレンタインって恥ずかしいものだもん。
(君たちに、僕の想いが伝わりますように!)
―――
こっそりフリー。お好きなCPは人それぞれですので、チョコレートを渡す前にしました。誰に渡すんでしょうかねドキドキ!