じっと鏡を見ているカラ松を見つめる。正確には、カラ松の胸。
六つ子お揃いのつなぎを着ているんだけど、何故かすごい開いた胸元は黒のインナーを着ているとはいえカラ松の胸筋を目立たせている。
抱き締められた時とか、ふとしたときに筋肉あるなとは思っていたけど。イイかもしれない。
するりとカラ松に近付き、ぺた、と胸に手を置いてみた。「ひあ!?」と驚いたように声を上げる。
「な、何をしているんだ、名前」
『んー?筋肉あるなって思って』
「ま‥‥まあ鍛えているからな」
そういうところはマメだよねぇ。
ぺたぺたと筋肉を触っていると手を掴まれて「そんなに触られると照れる」と真っ赤な顔で言われたのでやめた。まったく、チェリーボーイなんだから。
『何で鍛えてるの?』
「特に理由はないが‥‥名前と付き合うようになってからは守れるように」
この男はさらりとこういうことを言うんだから。守れるようにって何さ。何に対してさ。そんな身の危険を感じる生活は送ってないよああもう馬鹿好き。
「それに名前は筋肉のある男が好きなんだろ?」
『え?なんで知ってるの?』
筋肉好きだよ。もうムキムキマッチョから細マッチョまで。でもそのことをカラ松に言った覚えはないような。
純粋な疑問なのだけどカラ松はしまったという顔をする。
「その‥‥名前に出会ったときに‥‥好きな男のタイプを聞いてな‥‥」
『ああ‥‥』
そういえばトド松くんから聞かれたような。あの時はまだカラ松のこと好きじゃなかったから普通に筋肉って答えたんだっけ。ていうか昔の私好きなタイプきかれて筋肉って答えたとか変だな。
カラ松はその時から私のこと好いてくれていたんだ‥‥。
『私はカラ松のこと筋肉で好きになったんじゃないよ』
もちろん筋肉も好きだけれど。
さり気なく荷物持ってくれたり車道側歩いてくれたりとか、相合傘で傘を私の方に傾けてくれたりとか、好きなタイプきいて努力してくれるところとか。
「そうだったのか‥‥」
『そうだよっ』
というか今まで勘違いされていたことがショックなんだけど。カラ松は「何だか照れるな」と耳まで真っ赤にして笑った。
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頂き物
転載元:
ちょこころね様
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