昔はもっとこう…なんて言うんだろう。明るかったっていうか、こんなにネガティブ入ってる感じの人格じゃなかった。普通だった。
▽
「ねえ、偶然って何。別れって何。時の流れ?はっ、そんなもの僕達には関係ないよね?」
そうだろ?偶然知り合った人と仲良くなって、時が経つにつれて仲良くなったから別れたい?それって何。僕を独りにするの?捨てるの?どういう事だよ。
「ごめんね一松くん!でも違うの!お願い聞いてっ!」
「何が違うの?ああ、別れたいって話が誤解?そうだよね。だって名前、言ったじゃん。こんなゴミクズでも一生愛するって約束するってね。」
ああ、そんなに怯えちゃって。ヒヒッ、それも当然か。こんな暗い、どこかも分からない場所で鎖に繋がれて監禁されてるんだから。でもさ、名前のためなんだ。こうでもしなきゃ僕から逃げていく名前を生かしてなんて置けないからさ。
「ごめっ…もうこんなことやめて…お願い…」
「ごめん?何に対して謝ってるの?約束するって嘘ついたこと?僕と別れて他の男のところに行くこと?僕を独りにすること?」
「ちがっ!違うの聞いて!」
ぱっちり二重の目をうるうるさせて懇願する。その瞳に僕は映ってる?誰を思って僕にお願いしてるの?そんな話聞きたくない。
「私が、私が本当に好きなのは」
「やめろっ!!」
そんなの言うな。
「聞いてっ!!」
「聞きたくないっ!!!」
僕の人格が崩れるからヤメテ。
「私が好きなのは」
「っ…」
ヤメテイヤダイタイイタイイタイイタイ。心臓がイタイ。聞きたくない。
「一松くん、貴方だけだから。」
イヤダイヤダ……えっ?僕?
「私は一松くんが好きだよ。」
「は?いや…なんで。だってさっき…」
「あれはごめん。嘘だから。」
「…う、そ…?」
嘘ってなんだっけ。あれ、嘘?じゃあ僕はなんで名前を監禁した?ヤバイヤバイ。名前にそれこそ嫌われたんじゃ…
「今日が何の日か知ってる?」
「え、今日?…四月一日?」
「そう、エイプリルフールだよ。」
「えっ…」
エイプリルフール。そんな日もあった気がする。てことはやっぱ嘘なの?
「いやー、一松くんのヤンデレをちょっと見てみたかったんだよね。想像以上でドキドキしちゃったよ。」
「ヤンデレ…」
「そ。だから、ちゃんと一松くんのこと大好きだし、一生そばにいるから。」
鎖から解放した腕を僕の背中に回してギュッと抱きしめられた。嘘ついてごめんね、一生養うから。そう呟いた腕の中で僕はガラにもなくわんわん泣いた。
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