おそ松さん | ナノ


「うーん…どうしたものか…」


今日3月14日は世間一般で言うホワイトデー。好きな人にお返しをするという日だ。ちなみに次の人はブラックデーで、嫌いな人にお返しする日らしい。本当かどうかは知らない。
街中はカップルのピンクな空気で賑わっている。かく言う俺もカラ松ガール待ちだ。と言ってもいつものように宛もなく待ってるのとは違う。ちゃんと宛はあるし、お返しも用意した。
では何を悩んでいるのか。それは、お返しを渡すかどうか、だ。ニートの俺では買えるものも限られてしまうから、何か作ってみようかとお菓子作りに挑戦したのだ。しかし名前のようにうまくは行かず…今更あげるのが怖くなってしまったというわけだ。


「ごめんカラ松!待った?」

「いや、俺も今来たところさ。」


ホワイトデーを意識したのだろうか。名前は白を基調としたフワフワで可愛らしい格好をしている。まさにエンジェル!流石は俺の彼女だ。


「ねえ、今日はどこに行くの?」

「フッ…アクアの底へ溺れて青を楽しめる世界へ行こうじゃないか!」

「…」


少し伝わりにくかったか?


「……ああ、水族館ね!」

「ビンゴォ〜!」

「イルカショー、見れるといいなぁ!」





「うひゃー、結構びっしょりだね。」

「想像以上に水しぶきが飛んできたな。」


名前の方を振り向くと白いワンピースがぐっしょりで下着やらブラジャーやらが全て透けていた。ヤバイなんだこれすごくエロい……じゃなくて!


「名前…その、す…」

「す?」

「す、透けてるから…あ、あれだ…そこの売店でTシャツを買おう!」

「えっ…」


ぱっと自分を姿を見た名前が頬を赤らめてうん、と頷く。ああ、惜しい。ここが外じゃなければ今すぐにでもエッチなことしたいのに。
煩悩を振り払いながら、自分の着ていた上着を名前の肩に羽織らせる。うん、エロい。


「あ、ありがとう…」

「ああ。名前はそこで待っていてくれ。俺が買ってくるから。」

「えっ、わ、私も行くよ?!」

「ダメだ。名前のそんな姿を店員さんに見せたくない。お願いだからいうことを聞いてくれ。」

「う、わ、分かった…」


名前がお手洗いに入っいくのを見届けてから売店の中に入る。
売店の中は意外と充実していて、カップル物が案外多かった。その中の一つにペアルックのTシャツがあった。今までペアルックとかしたことなかったがこの際しょうがない。これしか売っていないのだから。いや、むしろチャンスだ。名前とペアルックできるチャンスなんて早々ない。ここでしないでいつするというのだ。


「ありがとうございました〜!」


店員に見送られ外へ出る。
そうだ、この中に作ってきたお菓子を入れて渡そう。なんとなく渡しづらかったそれを一緒に袋に入れ名前を呼びに行くとお手洗いから控えめな声が聞こえた。そういう所もキュートだ。


「買ってきたからこれを上から着るんだ。」


流石にワンピースは脱げないから上から来てもらうと、Sサイズのシャツはぴたっと張り付いて逆にエロい気がした。Mにしておくべきだった。


「あれ…?なにか入ってる…お菓子?」


箱を取り出しながら首をかしげる仕草もまさにエンジェル!


「それ、ホワイトデーだから作ってみたんだ。何を返せばいいか分からなかったから…だがあまり自信はない。」

「…カラ松が作ったってこと?」

「…ああ、俺が作った。あまり美味しくないかもしれないのだが…」

「っ…あ、ありがとう!」


大事そうにぎゅっと箱を抱きしめながら、手作りを貰うのは初めてなんて喜んでいる。その姿を見たら作ってよかったななんて思ってしまうから名前はすごいんだ。


「…来年も、手作りがいいな…」

「!!…フッ、名前のお望みとあらばいつでも作るぜ!」


愛情たっぷりのあまぁーいお菓子をな。


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