基本的に1日飛ばしのサイクルでわたしの元を訪れる3人だけれど、唯一2日飛ばしの曜日が存在する。

月 休 水 休 金 休 休

そう、月曜日だ。
2日飛ばしな分、味の質が上がるらしい月曜日はどいつもこいつも普段よりテンションが高くて面倒くさい。だからわたしとしては週初めのこの日がとても憂う、つっ?!

「痛っ!」

冷蔵庫を開けてペットボトルの麦茶を手に取った時だった。
不意に二の腕を鈍痛が襲い、持っていたそれをゴトンと床に落としてしまう。見れば、右腕に顔を埋める赤い髪のそいつ。まっっったく不意打ちに噛むヤツがあるかこんにゃろう…!


「ねえキッド!痛い!」


当たり前に、歯が肌に刺さるその瞬間は痛みを生じる。
うっすらと涙を滲ませながら目の前の赤を睨めば、刺したばかりの歯を引っこ抜いて不満げに眉間を寄せられたものだからギョッと目を見開く。ちょ、せっかく痛い思いして刺されたのに何抜いてんの…!


「うるせーな。痛ェのは刺し込む瞬間だけだろーが」
「そうだけど!その瞬間がヤダから丁寧にやってって言ってるのに…!」

慎重にやってくれれば刺す瞬間だってほぼ無痛なんだから!と、必死になって声を荒げる。

「いつもはアイツらより丁寧にやってんだろ!」
「……まあそうだけど」
「今日くらい大目に見ろよ。月曜だぞ」
「でた!」


やっぱりそれか!普段からバカ丁寧なキッドが不意打ちで噛み付いてくるなんて変だと思ったんだ。くそう、月曜日のバカヤロー!


「おい、ジッとしとけ」
「1日に2回も噛まれるなんて最悪…。」
「お前がギャアギャア話しかけっからだろ!」


そう言って再び歯を立てるキッド。
……うん、今回はあんまり痛くない。


「……」
「……」


吸血されてる間、特に身動きも取れないので手持ち無沙汰にその様子を眺めていると、目があって顔をぐいっと横に向けられた。見るなってことか。そうですか。


「(でもって少しクラっとしてきたような…。)」


なんて思ったのと同時。
腕から離れたキッドが親指でくいっと噛み跡を拭った。これがキッドの終了のサイン。言わずとも限界を悟ってストップしてくれるのは3人の中で唯一キッドだけで、そんなところに優しさを感じたりもする。


「オラ、食っとけよ」


そして毎週毎週プルーンをくれる。
鉄分を作る食べ物は他にもあるはずなのにとにかくプルーン一択。おかげでわたしの家には常にプルーンのストックがドッサリだ。


「キッドも食べる?」
「いらねェ」
「美味しいよ?」
「いいっつってんだろ。しつけーな」


ボスンと音を立ててベッドに寝転がったキッドに短く舌打ちをされる。……いや、それわたしのベッドなんですけど。めっちゃ我が物顔だな。
いっそ清々しいくらいだよ。


「オイ、なまえ」
「はい?」
「こっち来い」
「……えっ、なに?キッドってば抱き枕とか欲すタイプ?ええー、ごめん怖いくらい似合わな、」
「ブチ犯すぞテメェ」


あえて欠点をあげるとしたらこの口の悪さじゃないかと思う。


ひとりめ
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