「かった」

「なに?カッター?」

「ちゃいます。この白玉が硬いんすわ」

「え、うそ…!」

「ほんま」


昨夜クックパッドを頼りに作り上げたなまえちゃん特製白玉善哉。
それを昼休みに入って早速ひかるに献上してみたところ、どうやらメインの白玉団子が物凄く硬かったらしい。
さっきから硬い硬いの一点張りでそれしか言ってくれないんですけど…!


「ちなみに硬い以外の感想は?」

「餡も味があんませえへんような、」

「褒め側の感想がほしい!」

「…あー、ほなこの器がええ感じっすね」

「もはや善哉に対しての感想じゃないよね、それ」


器ってなんだ、器って…!
でもひかるは悪くない。
悪いのはこんなまっずい白玉善哉を作ってしまったわたしなわけで。
あああ、こんなことなら大人しくコンビニの善哉を購入しておくんだった…!


「ぬおおお、ごめんねひかる…!」

「ちょ、わかりましたから。その悲しみオーラしまってくださいて」

「………」

「そないな暗い空気ぶちかましてたらこの部室に悪いもん集まってきてまいそうですやん」

「………」

「……」

「……チュー」

「は?」

「この暗い気持ちを吹き飛ばすにはひかるんのチューが必要だと、もが!」


この雰囲気を利用して調子に乗ったことを口走った結果、例のかったい白玉善哉が口中に突っ込まれた。ので、試しにそのまま咀嚼してみる。
すると、どうしたことか。
確かに味がしない。無味!
しかも白玉かったいな…!


「ま、まずい…!なんだこれ!」

「なんだこれて…、作ってる途中に味見とかせんかったんですか」

「一切してない」

「…ハァ、せやからこないな珍作品が生まれるんすよ」

「珍・作・品…!」


丹精込めて作った善哉を珍作品って言われた…!しかもため息交じりに!
ちょ、このままじゃ料理の出来ないダメ女認定されちゃうよ。
それだけはなんとしてでも回避しなくては…!


「ねえ、ひかる!明日もう一回作ってくるからリベンジさせて!」

「……」

「そ、そんな嫌そうな顔しなくても…。」

「…今日って部活休みですよね?」

「え?ああ、朝練の時オサムちゃんが言ってたね。大人の事情がなんちゃらって」

「ほんならなまえ先輩、今日の放課後の予定は?」

「特にはないけど…。」

「したら帰りのホームルームの後、家庭科室集合で」

「か、家庭科室?」

「おん」


なんであえての家庭科室?ひかるからのお誘いは死ぬ程嬉しいけど、家庭科室指定の真相が読めなさすぎる…!
声には出さずに頭の中でそんなことをぐるぐる思考していると、ひかるが呆れたような表情を浮かべながら「教えたりますわ」と一言。


「教えるって……あ、もしやなんかアハンウフンなこと?なんも知らん先輩に俺が一から教えたりますよー的な?」

「………」

「でも家庭科室とかマニアックすぎるよ、ひかる!きゃー!」

「…なんや、なまえ先輩がお望みなら手取り足取り教えたってもええすけど」

「なんだろう、ひかるが言うと冗談に聞こえない」

「まあなまえ先輩が自ら言い出したことやしナニされてもしゃーないすよね」

「ひっ!ご、ごめん!わたしが悪ノリしすぎた、まじごめん!だからそんな顔を近付けないでくださいいい…!」


これ以上その色気で攻め入られたら鼻血出すわ…!大量出血だわ…!
謙也だったらこの手の悪ノリにいい反応を返してくれるのに、ひかる相手となるとどうも毎回カウンターを喰らってしまう。このセクシーイケメンめ!


「ま、アホな掛け合いはこん位にしといてそろそろ教室戻らなあかんすね」

「え、うわ、ほんとだ!もう昼休み終わりじゃん!」

「おん、せやから早く荷物まとめたってください」

「はいはーい。…それにしてもこんな失敗善哉のために態々部室まで呼び出しちゃって改めてごめんね」

「ほんまっすわ。まあその分放課後みっちり特訓したりますんでええんすけどね」

「うん……、え?」



………特訓?
欠伸まじりに放たれたひかるの一言に、片付けをしていた両手の動きが止まる。
しかし、その一拍後に聞こえてきた昼休み終了5分前を伝えるチャイムの音を耳に入れると、止まっていた動きを再開せざるを得ない為せわしなく片付けを進めたのであった。

と、とりあえず特訓ってなんのことですかひかるくん…!


(なんのことて、話の流れ的にわからんかったんすか)

(も、もしや本当にアハンウフンなとっく、)

(善哉特訓すわ)

(え、なにその可愛らしい特訓名…!)

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はい!とりあえずごめんなさい!
ひっさびさに更新したと思いきやこんなわけのわからないお話になってしまいました…!
お、思うように書けない…!!
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