オレンジのひまわり



「ねえエース」
「んー?」
「重い」
「んー」
「あつい!」
「オレも」

背中にへばりついたエースがふあっと大きな欠伸を溢す。
つられて出そうになった欠伸をぐっとかみ殺すと、のしかかっている状態だったエースの腕がぐるりと首元に回ってぐえっと変な声が出た。ちょ、まじ重いって!

「おんぶして」
「ムリ!潰れる!」
「潰れねえよ」
「体格差を考えろ体格差を!」

どう考えてもわたしがされる方じゃん!そしてエースがする方じゃん!身を捩りながら訴えれば、首のホールドは解けた。が、そのまま体重を掛けるようにして肩を組まれたことでYシャツ越しにモロにエースの体温が伝わってくる。
ううっ!ほんとあっついな、この子供体温め…!


「ねえ!近いって!」
「ふつーだろ」
「普通じゃないからみんなにも勘違いされるんでしょーが!」
「勘違い?」


「付き合ってるの?」から始まって「あ、もしかして幼馴染とかそーいう系?だから仲良いの?」なんて想像を膨らませてくる女子も大勢いる。その度に出会いは高校入ってからだよ、付き合ってないよ、と定型文さながらに弁明するのだ。


「エースはモテるから常に女子が目光らせてるんだよ」
「ふーん」
「ふーんって」
「まあだからってなまえと距離作る気はねえけどな」


二カっと眩しい笑顔を浮かべるエース。
その横顔を腕の中から見上げていると、視線に気付いたらしい。首を傾げながら顔を覗き込まれた。だーから近いんだって!距離感おかしいってば!


「嫉妬されて女子群から苛められたりしたらどーしてくれる!」
「お前黙って苛められるようなタマじゃねーじゃん」
「いや、わたしガラスのハートだから。さめざめ悲しむタイプだから」
「はい嘘ー」


片眉を吊り上げて楽しそうに笑うエースにぴんっとデコピンを仕掛けられた。
軽い一撃だったから痛みこそ感じなかったけど、まんまと喰らって悔しいのでするりと腕から抜け出しその広い背中へと飛びついてやる。首に腕を回して、腰辺りに両足でしがみ付けば強制おんぶの刑の完成だ。


「重っ」
「へっ!ざまあ〜」
「うわ、腹立つ喋り方だな!」


そんなふうに憎まれ口を叩きあっていれば不意にエースの後ろ髪からヘアワックスの香りがして、無意識に鼻を近づけてしまう。この匂い好きなんだよね。めっちゃいい匂い。すーはー。


「てか現になまえだってくっついてきてね?」
「これは別にそーいうんじゃないし」
「同じだろ」
「違う」
「むしろお前のスキンシップの方がハードコースなんだけど」
「なんでよ?10文字以内で簡潔に述べよ」
「おっぱい当たってる」
「ちゃんと10文字以内なところが地味に悔しい」
「少し喜んじまった自分が地味に悔しい」
「いや、そこはわたしの胸の名誉のためにも素直に喜んどいてよ」

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ひたすらワンコ属性だけどふと男を感じさせるエース、みたいなのを目標に書きたい次第です…!
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