「うお、そこそこ!そこいいわー…。」
そう言って目を細めるサッチ隊長を前に、自然とゆるりと頬が緩む。
それもこれもつい先日覚えたばかりのマッサージ術が大変好評で、少しでもみんなの疲れを取ってあげられているのだと思うと素直に嬉しいのである。
いやあ、わたしってばマッサージ師になれるんじゃないかな…!
「ねえねえ、それじゃあこことかどう?」
「っ、いい!すげェいいんですけど…!」
「おおっ!じゃあここは?」
「うっ…!き、気持ちいいですなまえチャン」
その言葉を聞いて、より一層頬が緩んだ。
だってこの状態のサッチ隊長を見れば嘘なんて付いていないことは明らかだし、本当に気持ちいいんだなあっていうのがちゃんと伝わってくる。
うん、嬉しい!わたしすっごい嬉しいよ、サッチ隊長…!
「…あァ〜、すげェ良かったわ」
「うんうん、それならよかった!またやってあげるね!」
自信満々にピースを作って言えば、へらりと笑顔を浮かべたサッチ隊長に「おう、頼むな!」と頭を優しく撫でられた。
それが気持ちよくて静かに目を閉じてみるも、すぐに部屋のドアをノックする音が耳に届いてパチリと瞼を持ち上げることになる。
はて、誰だろう…?
「はーい、どうぞー?」
少し声を大きめに返事をしてみれば、ゆっくりとドアが開かれる。
そしてドアが開ききった時そこに現れたのが、マイダーリンである隊長と二番隊の隊員であるミロの二人だったので思わず首を傾げてしまった。
「あれ?二番隊の出動要請?」
「ああ、違う違う!エース隊長がなまえのアレ体験したことねェって言うから連れてきたんだよ!」
「いや、だからなまえのアレってなんなんだよ」
にいっと得意げな顔をしているミロの横で、当の隊長は頗る怪しげな表情を浮かべている。
その様子をぼけっと眺めていると、不意に隊長の視線がわたしの方に移ってきて「…まじでお前、なにすんの?」と不思議そうに尋ねてきた。
これは多分、…いや絶対にマッサージのこと言ってるんだよね。
そう思って口を開こうとすれば、ほぼ同時にサッチ隊長がわたしの口元に手を充てたものだからモゴ!っと口篭るだけで言葉にすることが出来なかった。
うおおい!何するんだサッチ隊長ってば…!
「まあまあ、やってもらえばわかるって。なあ、ミロ!」
「ッス!サッチ隊長の言うとおりなんで、俺先に食堂戻ってますね!じゃあ!」
「あ、おい!コラ!ミロ!」
隊長がそう声を上げるも、スタコラッサッサと華麗に逃げ去っていったミロ。
そういえば、この前足つぼマッサージをミロにやってあげた時にすごい絶賛されたような気がする。
…そうか、だからあんなにもプッシュしてくれたんだと思うとこれまた嬉しい…!
うん、今度またミロにもやってあげよう!なんて思いつつ、隊長達の方へと視線を戻せば、丁度サッチ隊長が隊長の耳元で何やら小さく呟いたのがわかった。
「ふたりとも何話して、」
「ってことだから、全部なまえに任せてお前は大人しく座ってりゃいーの」
「は?!…って、うがっ!」
わたしの疑問文が軽快に遮られ、被さったサッチ隊長の言葉のあとに勢いよく隊長の体が吹っ飛んできた。
そしてそのままベッドにキャッチされた隊長は、驚いた顔をしながらパチクリと数回瞬きを繰り返している。
「ま、そういうことで!あとは頼むな、なまえー」
「えっ!う、うん!任せて!」
一言そう答えると、次にはパタンと小さくドアの閉まる音が部屋に響いた。
「………」
「………」
「…えーっと、」
「っ、!」
わたしが一言発したら、それだけで隊長の肩が震えた。
え、え、え!わたし今何も変なこととか言ってないよね!?
変態発言どころか、発言自体まだしてなかったんだけど…。
そう思いつつ隊長の顔を見れば、何故だろう。
そこには耳をほんのり赤く染めた色気マックスの隊長がいらっしゃった。
「ちょ、ほんとどうしたの隊長?!そんなピンクい雰囲気醸し出してるとわたし襲っちゃうけど…!」
下心8割、心配2割くらいの気持ちでそう叫べば、キッと勢いよく睨まれたので小さく悲鳴が漏れる。
だ、だって怖い!急に顔怖くなったよ、隊長…!
「わ、わかった!大人しくやります!やりますんでお気を沈めて隊長!」
そう焦って隊長の足元にしゃがみこめば「なっ、バカか!」と思いっきり頭をブン殴られて、状況が読み込めず「痛い!なに!え?!」と大声を出してしまった。
ちょっとこれほんと痛い…!
「おま、こんなん今まで他の男にもやってたのかよ…!」
「え、いや、二番隊の何人かとサッチ隊長にもさっき、」
「はあ?!」
えええ…。なんでそんなに怒ってるの隊長…。
イケメンが怒るとその威力は通常の何十倍にもなるんだよ。怖いんだよ。
なんて冷や汗をかきつつもとりあえず足に再び手を伸ばせば、頭上から地を這うような低い声で「触ったら燃やす」と死刑宣告が降り注いできた。
も、もう泣いてもいいですかわたし…!
「で、でも触らないと出来ないよ」
「………」
「…あ、だったら肩にする?肩のマッサージもこの前覚えたから出来るよ!」
「…………は?」
「や、だから肩!それか背中も出来る!あ、足が嫌だったらそっちでもいいけど…。」
様子を伺うようにそう言えば、先ほどの鬼の様な形相はどこへやら。
ポカンと口を開けて、気の抜けたような顔でこちらを見ている隊長と目があった。
「……え、なに。マッサージ?」
「う、うん、マッサージ!結構みんなにも評判はいいはずなんだけど…、」
そこまで言って、もう一度伺うようにそちらを見る。
すると、右手で口元を覆いつつ上半身をパタンとベッドに倒してしまった隊長。
その手の隙間から見える顔は不思議ととてつもなく赤い。
「えっと、たいちょー?」
「…あー、足でいい足で」
「え、」
引き続き顔を隠しながらも足をこちらに差し出してくれる隊長。
その姿を前に、急激に体の底から何かが湧き上がってくるのを感じる。
……ちょっと待ってなにこの可愛い隊長…!
「やばい!マッサージの前に少し襲ってもいいです、ぐえっ!」
「っ、大体な!サッチもお前もそういう紛らわしいこと言うから悪ィんだよ…!」
「ま、紛らわしい…?」
「!、う、うるせェ!なんでもねェよアホ!」
わたしにゲンコツを喰らわすために起き上がったため、隊長のその真っ赤な顔がよく見えるようになった。
なんだろう、たまに赤くなることはあってもこんなに激しく赤面するなんて中々珍しい。
………あ、そういえば。
あの時サッチ隊長ってば一体隊長に何を言ったんだろう?
「ねえ隊長、さっきサッチ隊長に何言われたの?」
「っ、!!!し、知るか!」
「いたっ!ちょ、なんで殴るの…!理不尽!」
誤解を招く言い方
(今からなまえがイイことしてくれるってよ、エースくん)
(はあ?いいこと?)
(そっ。すっげェキモチーこと)
(………は?)
(ってことだから、全部なまえに任せてお前は大人しく座ってりゃいーの)
(は?!…って、うがっ!)
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匿名様へ贈らせて頂きます。
まず始めに謝罪をさせてくださいませ。
メールフォームの機能を把握しきれていなかったことが災いしまして、頂いたメールの保存期間を過ぎてしまい、内容の方が企画ページに載せましたリクエスト部分しかわからない事態になってしまいました;;;本当に本当に申し訳ございません!
もしもリクエストしたものと違う!など問題が生じましたら遠慮なく申し付けてください。いつでも書き直させて頂きます!(汗)
加えまして、送ってくださったメッセージにきちんとしたお返事が出来なくなってしまって、本当にごめんなさい。
同時に、書き上げるのが大変遅くなってしまいまして申し訳ございません。
更には、足つぼまでの工程で足つぼ実践前に終わってしまい土下座物でございます…!今後、続きを書けたら書かせて頂きたく思います!
そして、この度は4万打企画へのご参加を本当にありがとうございました!
よろしければ、これからも当サイトをよろしくお願い致します(*´`*)
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