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From:白石蔵ノ介
Sub:No Subject

明日の部活は水着持参!
水泳部おらんからプールで体力作りらしいで〜^^

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昨晩、部長である蔵から一斉送信でメールが届いた。
夏休みに入って早々プール練習だなんて、さすがオサムちゃん…!
そう歓喜してパチパチと部屋で一人、拍手をしたことは記憶に新しい。

だけどよくよく考えたらわたしはマネージャーという立場だし、水泳に参加することはまずないだろうなあ、なんて思ったわけで。

「(もの凄く残念だけど、こればっかりは仕方ないか…。)」

そう判断して泣く泣く水着を家に置いてきたものの、どうやらその判断は大いに間違いだったらしい。


聞くところによると練習を終えた後も引き続きプールを使えるということで、今現在テニス部員のみんなは遊泳を楽しんでいるのである。
「練習後なのにタフだなあ」なんて感心する一方で、こんなフリータイムがあるならわたしも水着を持ってくればよかった!と盛大な後悔の念が募る。

そんなこんなで「せめて足だけでも!」とキラキラ光る水面に膝まで突っ込んでばちゃばちゃしていれば、不意に背後からポンと肩を掴まれた。
驚いて振り向けば、そこには青の爽やかな海パンを身にまとった蔵の姿。
なんだなんだ、その完璧な肉体美を見せつけに来たのか…!


「なんや、肉体美って!」

「いや、てっきり俺の腹筋エクスタシーやろ?的なお披露目かと」

「そんなんちゃうわ!ただなまえが暇そうやったから様子見に来てん」

「おお、まじか!この優男め!」


へへっと笑いながら肘でツンツンと蔵をつつけば、何を思ったか「よっこいせ」とわたしの横に腰を下ろしたエクスタシーイケメン。
その行動に思わず「泳がなくていいの?」と問いかける。


「なまえの方こそ暑くないん?」

「え、そりゃあ暑いけど…、」

「せやから水着持っておいでー言うたんに」

「だってこんなフリータイムがあると思わないじゃんかー」


小さく口を尖らせると、今度は足元から声がかかる。


「なんや、なまえ先輩生理なんかと思うてましたわ」

「なっ、なに言うとんねんひかる!」


さらりとデリカシーの欠片もないことを言ったひかると、その一言を聞いて一目散に焦り始める謙也。
…いや、でも本当直球すぎる。謙也をからかっているひかるをじとーっと見つめてみれば、わたしの視線に気づいたようでパシャっと水をかけられてしまった。
うああ、冷たくて気持ちいい…!


「ねえねえ、もっとしてひかるー」

「なんやその言い方エロいっすね」

「え?!な、なに言って、」

「「ちゅーかもうそのまま入ってまえばええやん(ええやないですか)」」


―トンっ ―くいっ


「って、え…!!!」



バシャン!



「う、うわ!ちょ、何しとんねん白石!ひかる!」

「えっ、や、俺かてガチで落とすつもりはなかってん!軽く押しただけのはずなんやけど…!」

「俺もほんまに引きずり込むつもりはこれっぽっちも…、」


とまあ、どうやら冗談で軽く背を押した蔵と、これまた冗談で軽くわたしの脚を引っ張ったひかるのタイミングが同時だったことが原因で、うまいことバランスを崩したわたしがプールの中にボッチャンしてしまったらしい。
ちょ、なんかもう部員みんなの視線を一身に感じるんですが…!
気まずい!気まずすぎる!


「い、一旦出る…!」

「あ、ちょお、待ってください」

「な、なに?」


プールサイドに手を着いてぐっと身体を持ち上げようとすると、後ろから手首を掴まれ持ち上がりかけた体は水中へと再びリバース。
何事かと背後を振り向けば、若干視線が下がり気味のひかるがポツリと一言。


「水色」


それを聞いてハッとした蔵が「タオルと羽織るもん持ってくる!」と急いで立ち上がり、隣にいた謙也は予想通りというかなんというか、顔から発火するんじゃないかってくらいに真っ赤になっていたわけで、なんかもうわたしハプニング大賞でも受賞できるんじゃないかなコレ。



ええ眺めっすわ、先輩



(ほんまごめんな、なまえ!)

(先輩、下半身重いんとちゃいます?)

(蔵は許す!だけどひかるからは誠意を感じない!一切感じないんだけど!)

(ほな誠意を込めて、目の保養あざっす)

(ちょ、ほ、掘り返さないでってば…!)

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TOY様よりお借りしました「夏休みお題」から。
体育の授業中、見学している人がプールに落ちる事件たまーにありますよね!
そして服が透けちゃうっていうお約束な展開です、はい!
ひかるんは動じずに冷静に観察してたらいいなあ、と(〃ω〃)
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