10.大化改新(‘98.11.22) 【会場】奈良教育大学 講堂 【脚本】四宮 豊 【スタッフ】演出/太田垣 学 照明/吉川 維久子 音響/岡部 美紀 舞台監督/太田垣 学 サポート/川城 精司 星川 大輔 平山 聡子 峰垣 文彦 【キャスト】中大兄皇子・・・四宮 豊 大海人皇子・・・柴田 貴之 中臣鎌子・・・藤原 亮祐 太安麻呂・・・岩瀬 直子 網田・・・櫻井 雄輝 山崎・・・松田 英子 山崎の母・・・添谷 史香 倭姫王・・・佐藤 佳世子 遠智郎女・・・近藤 亜紀子 鑑姫王・・・明井 美絵 額田王・・・三好 亜由美 石川麻呂・・・荒木 祥次 蘇我入鹿・・・月出 修司 皇極天皇・・・廣田 真理 ナレーション・・・太田垣 学 【解説】 キラキラ座第10回記念公演。 歴史9部作の記念すべき第一作。(しかし、9部作は未だ完結していない) 【バックステージ】………こぼればなし ○月出 修司が演じた蘇我入鹿の登場シーンは、客席後方より「入鹿」のネーム入りのコウモリ傘をさし、誘導灯に導かれてゆったりと登壇。客席に向けられた傘をザッと畳むと、涼しげな入鹿がニヒルな笑顔を見せる、といった歌舞伎の花道さながらの印象的な演出だった。(この時は二枚目役だったのだが………) ○「山崎」が快活で、感情の起伏が激しいキャラクターであったため、舞台上ひときわワントーン高いテンションで走り回るエネルギッシュな設定だったのだが、見事に演じきった松田英子は、以後「元祖パニック女優」と言われるようになった。(第12回公演「本能寺変」でも、冒頭松田演じる森蘭丸のパニックシーンから始まる。) ○皇極天皇役の廣田真理は、当時OBとして途中参加。(その割りにはラストどんでん返しで重要なシーンを担う)しかし、スケジュール調整が困難を極め、公演当日東京から早朝の新幹線にて奈良に駆けつけるハメになる。(セリフが6行しかなかったのをいいことに、先約だった友人とのディズニーランド旅行を強行していたため) 開演40分前に、涼しい顔で楽屋入りした廣田を、寿命の縮む思いで待ちわびていたスタッフ達。ことに脚本作・主演の四宮は、廣田の姿を見て第一声「あーーーー!これで芝居ができるぅぅぅ〜」と、思わずその場にへたりこんだ。 ○中臣鎌子役藤原亮祐は、中臣鎌子=藤原鎌足の「藤原」に掛けてキャスティングされたやに思うが、実は鎌子の計算高そうなキャラクターにマッチしたからのようだ。 本番、登場直後のストーリーテラーとしての重要な場面で噛み倒し、本人も思わず口に出して「やばい」と言ってしまった。その瞬間客席がドッと沸き、場が温まったため、皮肉にも以後テンポ良く舞台は進行していくこととなる。大きな失敗をしたくせに、逆に客の関心を引き、登場の度に注目をさらった藤原に対し、主役の四宮は少なからずジェラシーを覚えたという。 ○「山崎の母」を独自の間合いで見事に演じきった添谷史香は、これを機に「母」キャラを確立。(キラキラ座の「もたいまさこ」とも…)以後数回にわたり、この「母」キャラは歴史9部作シリーズに登場する。 ○歴史作品ということもあり、特に衣装に工夫が凝らされた。衣装制作は添谷を中心に、女性キャストらによって制作される。以後歴史9部作にはその時代毎の衣装が舞台を飾ることになる。この第10回記念公演は、登場人物が多く、その大半が皇族ということもあって制作には困難を極めたが、全員が登壇するクライマックスシーンではその華やかさは見事だった。 【文責/OB:廣田真理】 |