※言葉のみの説明よりもと考えて書きました
※作品例です
※起承転結の分け方が上手くいかなかったので悪い例です、すみません

※ひとかたまり100〜140字
※それ×4で一作品です

※高緑注意



『影』
並んで立った昇降口。習慣で促されたジャンケンを制し、今朝早くにメールで伝えた送迎休止の理由のパンクを告げれば、緑間は小さく肩を竦めた。「だからオマエはダメなのだよ」すげない言葉だった。高尾は眉を下げて苦笑いを返すしかない。真っ赤に燃えるコンクリートの上、長く伸びる二つの影が歩く。
二人の間にはしるこを啜る音だけが響く。高尾が珍しく黙り込んでいようとも、緑間は変わらない。足を踏み出す道の先、温い缶を片手に、投影された黒の先端を寡黙に見つめている。大方、高尾が部活終了間際に課されたペナルティにへばっているとでも思っているのだろう。それが、誰の所為とも知らずに。
慣れた練習メニューをこなしながら、考えていたのは別のこと。緑間の影についてだ。自分だとは、思う。人事を尽くすことを望まれていたあの影は、今や他の奴のもの。分かってはいた。しかし。高尾は隣を歩く秀麗な横顔を盗み見る。視線を追って、穴が空きそうな程の視線を一身に受ける黒の影を羨んだ。
踏切手前の分かれ道。高尾は手を振る。緑間はいつもの如く中指で眼鏡を押し上げ、淡白に踵を返した。その視線から影が外れる。広い背中が遠ざかると共に、長い影法師が滑るように逃げる。高尾は徐に片足を振り上げ、勢いよくその黒を踏みつけた。緑間は気づかない。高尾の足裏はいたく熱を放っていた。
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