「…………ルシウス先輩、私まだ寝てて、夢見てます?」
「いや、ちゃんと起きているよリナ。
私もこれが夢であったらどれだけよかったか…」


遡ること5分前。
レギュラスと朝ごはんに行くため談話室に降りると困ったようなルシウス先輩。
どうしたんですか、と問い掛ける前にルシウス先輩の腕に抱かれている子供に目を奪われた。

彼氏であるレギュラスにそっくりな、5歳くらいの小さい子。

「ルシウス先輩、いつ私のレギュラス寝取ったんですか!」
「まず落ち着こうかリナ。
男同士で寝取るもなにもないだろう?」
「いやルシウス先輩ならやりかねません。何てったってスリザリンのプレイボーイ…!」
「ほら深呼吸して」

吸ってーはいてー
………よし


「で、何がどうなっているんですか?」
「それは私が1番聞きたいんだけどね。どういう訳かレギュラスが小さくなっていたんだ」
「……………え?」


そして冒頭に戻る。
私はどうすればいいんだろう。抱きしめるべきなのか飛びつくべきなのか愛でるべきなのか。

これはきっと、あれだ。

「レギュラスを全力で愛でなさいという神様からのお告げに違いない!」
「そんなおつげ、ありません」

幼い声。小さな唇から紡ぎだされる言葉はいつも通りだけど。
でもやっぱり、

「かっわいいぃぃぃ!」
「わ、わ、」
「リナお姉ちゃんって呼んで!」
「いやですよ!」


ルシウス先輩の腕から奪いとってほお擦りする。
なんてすべすべな肌!もう可愛いなぁもう!もう!


「じゃあリナ、レギュラスを頼んでいいかい?」
「もちろんです、もちろんですとも!むしろ役得ぅぅぅ!」

いやだってレギュラスは私と同学年だし?同じスリザリンだし?付き合ってるし?
これで他の奴が面倒見るだなんてもし男だったとしても許せないっつの!


「リナ、じゅぎょうに、むかわないと、まにあわないです」
「うっわ朝ごはん抜きか!
レギュ、鞄ある?」

無言で指差すレギュに萌えながらレギュのぶんの鞄も持つ。
いくよーと声をかけてから歩きだしたが一つ問題が浮上。

「…レギュ歩いたら大変だよね」
「りーちがちがうんです」
「じゃあ抱っこしてあげる、から鞄抱えてね」
「………はい?」

反論がくるまえにレギュの鞄を渡してそれごと抱っこする。
あぁぁぁなんて可愛いの!


「魔法史2時間続きだよね、あー寝そうだな」
「なになちゅらるに、かいわしてるんですか!」
「抱っこが気に入らなくても暴れないでよー落とすかもしれないから」

途端に静かになったレギュラスを視線で愛でながら教室に入る。
レギュが目立たないよう1番後ろの座席を確保できた私は凄い。


「…でもレギュラス机に手届かないよね」
「…じぶんでわかってます」

少し落ち込んでるレギュを抱えて膝の上に乗っける。
あ、これいいんじゃ?レギュは机に手届くし私はレギュを堪能できるし。


「よしこれで魔法史はしのげるね」
「…なれてきたじぶんがこわい」

羊皮紙を広げレギュに羽ペンを渡し授業が始まる。
体にあわない大きな羽ペンで一生懸命書いてるレギュラスが愛おしい。
てか可愛すぎる。

誰だレギュラスこんなにしたの。
けしからん、もっとやれ!


「リナ、おなかにまわした、うでがいたいです」
「わ、ごめん」

でも調度いい体温なんだよね。
子供の高い体温と先生の眠気を誘う声。
最強タッグに勝てるわけないし…ごめんねレギュラス、おやすみ。




「リナ、リナ」
「んー…おはよレギュラス」
「つぎ、リナのにがてな、」
「やっばい次魔法薬学!レギュ、走るからしっかり捕まっててね!
んでスラグホーン先生に元の姿に戻る薬ないか聞いてみよ」

おうおう、もともと大きい目見開いちゃって。
可愛いなー彼氏にこんなの不謹慎かもしれないけど。


「はいダッシュー!」
「リナっ…はやっ…」

腕にすっぽりおさまるレギュラスも可愛いけど、そろそろ元の姿に戻ってほしいし。

可愛いから二日おきにこの姿でもいいんだけど!


「スラグホーンせんせー!」
「………ん?」

ちょっとぐったりしてるレギュラスの頭を撫でながら元に戻る薬がないか聞いてみる。
呪文なのか薬なのかわかってないけどとりあえず聞いてみなくちゃわかんないしねー。


「何が使われたかわからないかぎり無理に戻すと副作用が、」
「な、なんでですか!せんせいがくすりをつくってくれたらすぐもとにもどりゅ………っ!」
「あーよしよし。舌思い切り噛んだねー。
痛いと思うけど泣いちゃダメだよー」

じとりと睨まれるが怖くない。上目づかいになっててむしろ可愛いです隊長。


「ほら一緒に魔法薬つくろレギュ」
「いっしょって、」
「レギュラスが指揮とってくれたら私が雑用やるし」

にっこり笑ってレギュを椅子に座らせる。
周りの視線が痛いけど無視だ無視。

ブラックのあの姿ってもしかしてあいつの仕業か?とか言ってるそこの男子。
あとでぼっこぼこにしてやるかんな覚悟しとけよ!


「さ、まずは何?」
「さいみんまめを、つぶしてください」
「はーい」


足をぶらぶらさせながら、しかも大きい教科書のページを必死にめくりながら指示をだしてくれるレギュが可愛すぎて死にそうでした。
でも間違えそうになったら容赦なく蹴りがとんでくるのは怖かったですレギュラス君。


「お昼ご飯だー」
「おなか、すきました」
「何食べよっか」


ちょこんと椅子に座るレギュラスの頭を撫でてテーブルの上のご飯を見る。
朝ごはん食べそびれたし何にしようかなー。


「レギュラス!」
「あ、お兄さんだ」
「リナ!レギュラス可愛いだろ!?5歳のレギュラス可愛いだろ!?」


あっるぇー
この言い方ってもしかしてもしかすると、


「シリウスさんがレギュラスになんかしたんですか?」
「おう!可愛いだろ!」
「しね!」
「レギュそんな暴言はいちゃダメ!こんなのになるよ!」
「リナそこで俺を指差すのやめろよ!」

にしてもこの人スリザリンのテーブルにきて居心地悪くないんだろうか。
ほらセブルス先輩すっごい睨んでるし。


「よし、写真とれた。じゃあなレギュラス!もう少しで効果きれると思うから!」
「…おもうって!おもうって!」
「相変わらず台風みたいな人だねぇ」

色々お皿によそいながらレギュをちらりと見る。
…おおぅ、セブルス先輩も真っ青になる眉間のシワですなレギュラス君よ。


「はい、どうぞ」
「…………リナ」
「ん?」
「なんでこんなに、ちきんがおおいんですか!」
「やっべシリウスさんにつられた」
「ぼくはにいさんじゃありません!」
「ごめん!何がいい?キドニーパイ食べる?あーんしてあげるよ!」
「それはいいです!」


…シリウスさんの影響って恐ろしい。
しょうがない、嫌いでもないしチキンは私が食べよう。




「あー食べたー。次の授業なんだっけ?」

レギュの訴えにより抱っこはなくなりました。ずっと抱っこされてたら太るとかなんとか。
世の中のデブにたいする挑戦状だと思うんだ、私を含めてな!


「次は……」
「あ、リナちゃん!ちょっと待って!」
「あ、先輩」

顔見知りの先輩(男)に呼び止められ廊下で待つ。
あぁぁぁ前歩いてたレギュの視線が痛いよ!私何もやってないって!


「あ、あのさリナちゃん」
「なんでしょう」

正直この先輩はスリザリン寮だったってことしか覚えてないんだけど。
ネクタイでわかるけどねーですよねー。


「お、俺と付き合ってくれないかな!」
「………は?」
「もちろんブラック弟と付き合ってるのは知ってるけどでも俺だって…」

色々自分の魅力を語る先輩。
全くうざったらしいなぁ、どうやって断ろう。


「あの、私先輩と付き合うことはできません」
「なんで!?絶対俺のほうがいい男だしリナちゃんを大事にする自信があるのに!」
「だから…」

うわうぜぇ。
早くどっかいってくれないかなうざすぎる。
早くしないと授業遅れるし。


「絶対俺のほうが、」
「すいません」

ふわりと抱き寄せられる。見上げれば見慣れた横顔。
整った唇が綺麗な孤を描いているのはなんでだろう。

逆に怖いよレギュラス君。


「これ、僕のものなんで」
「え、あ、え、」
「リナ」
「ん。行こっかレギュ」

差し出された手に手を重ねる。
自然と絡められた指が嬉しくて思わず笑った。


「あの先輩何年生だったんだろ」
「たしかルシウス先輩と同じです、後で仕置きするよう頼んできます」
「あぁ………うん」

どうか明日先輩が生きてますように。
半殺しですみますように。
このレギュの迫力だったらやりすぎてもおかしくないしルシウス先輩のりそうだから怖いです。


「それにいつの間にか姿戻ってるしさ」
「僕もいきなりすぎてびっくりしました」

まぁリナが告白されてるのに戻れないなんて彼氏として失格でしょう、だなんてさらりと告げるレギュラス。
何、天然タラシ?天然タラシなの!?

頑張れ私話題を見つけろ。
赤くなった顔を見せるわけには…!


「あ、あのさ、さすがにモノ扱いはちょっと…」
「リナは僕のモノでしょう」

……うん、満足そうだからいいよもう。
こんな満足そうに笑ってるレギュ滅多にいないしね。

ほとんど無理矢理納得してるという事実に反論はしない。


「じゃあさ、レギュは私のモノね」
「僕ならあげます。でも他の輩は…」
「もらわないに決まってるでしょ」
「……それでいい」

振り返って笑うレギュラスに胸が大きく高鳴る。
いきなり敬語じゃなくなるなんて、反則だと思うわけですよ私は!

…あぁでもやっぱり、


「私もうレギュしか愛せないや」
「俺もリナしか愛せない」

一人称が俺に変わっていることに気づいてまた笑う。

モノだと縛られているはずなのに、なんでこんな愛しいんだか!


所有宣言
私は君のモノで、君は私のモノ




ぺんた様お待たせいたしました!
データの野郎が吹っ飛んでリクエストを仕上げるのが遅れに遅れたことを深くお詫び申し上げます。

レギュラス夢いかがだったでしょうか!
めずらしくプロットらしきものを書いてから小説を書きはじめたので異様に長くなりました、すみません!

"これ、僕のなんで"という指定の台詞にはモノを付け足させていただきました。
そのあと続けやすいからという理由ですごめんなさい。

シチュエーションがお任せだったのでレギュを幼児化させていただきました。完っ全に俺得ですね楽しかったです。
ニヤニヤしながら書かせていただいたのでぺんた様にもニヤニヤしていただければこれ以上に嬉しいことはありません!

ぺんた様のみお持ち帰り可能です。
気に入らない場合は言ってくだされば直しますので!

3333、11111番キリリクありがとうございました!
これからもよろしくお願いいたします( *`ω´)

2011.12.02.紅華


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