―――何処までも果てしなく闇が続いている。


その中を規則正しいヒールの音だけが響いている。


いいや、蝋燭に火は灯っているのだが、少女にはここが真っ暗闇に映って見えた。


不意に、グサッという何かが刺さる音と共に人の倒れる音が響いた。


顔に飛び散った返り血を拭う事もせず、少女はただ呆然とそれを見ていた。


「―――・・・人は、脆い」


そう言った少女の手にはナイフが握られている。


しばらくその死体を呆然と眺めた後、少女はもと来た方へと踵を返す。


また再び暗闇の中にヒールの規則正しい音だけが響き渡る。




その光景を、隅でジッと見ていた者がいた。


だが、それに気づく者は誰もいなかった・・・―――。







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