序
―――何処までも果てしなく闇が続いている。
その中を規則正しいヒールの音だけが響いている。
いいや、蝋燭に火は灯っているのだが、少女にはここが真っ暗闇に映って見えた。
不意に、グサッという何かが刺さる音と共に人の倒れる音が響いた。
顔に飛び散った返り血を拭う事もせず、少女はただ呆然とそれを見ていた。
「―――・・・人は、脆い」
そう言った少女の手にはナイフが握られている。
しばらくその死体を呆然と眺めた後、少女はもと来た方へと踵を返す。
また再び暗闇の中にヒールの規則正しい音だけが響き渡る。
その光景を、隅でジッと見ていた者がいた。
だが、それに気づく者は誰もいなかった・・・―――。[ 2/15 ] [*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
TOPへ
下記は宣伝です。