06



「・・・すみ、ません・・・。男の方が、少し・・・」


これだけ良くしてもらっているというのに、という申し訳なさから菘は目を反らした。


不愉快に思って当然だろう。


「男・・・。―――妖だからではなく?」


「え?」


予想外の質問に菘は首を傾げる。


だが、和葉の表情からは何も読み取れない。


「・・・妖。それは、あまり考えた事がありませんでした。それ以前に、誰かと関わることの方が苦手なので・・・」


「そうか・・・」


それも無理はないだろう、と和葉は思った。


祓い屋の巫女。


ここでいう巫女とは、特別秀でた異能な霊力を持った女の事を言う。


そういう者は稀だ。


数十年に一度と言われるくらいだ。


彼女の境遇くらいいくらでも想像がつく。


況してやこれほどの霊力を持っているとなれば。


現在の払い屋の巫女は予言の巫女と言われている斎紫という人間だ。


菘の霊力から察するに、彼女は巫女候補ということか。


巫女の影武者となる者の育成。


あそこではそういった事も行われているという。






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