04
ひらひらと季節外れの桜が舞っている。
* * *
囲炉裏を囲むようにして三人で座る。
青風は相変わらず姿を消したままだが近くにはいるのだろう。
「さあ、説明してもらうわよ!霜惺」
「まあ、待ちたまえよ。せっかくだ、我々も頂こうではないか」
「図々しいにも程があるわよ!・・・ごめんね、よね」
主の言葉によねは笑顔で首を横に振る。
「いえ、こんなものでよろしければ」
「ほうら。・・・ん?ほー、山菜かぁ」
「んもーっ!ほんっと大人げないんだからっ!この調子じゃ説明してくれそうにないわね」
はあ、と溜め息をつきながら舞は肩をすくめる。
そんな舞に構わず、器をもらうと霜せいは自分の分を鍋からよそいはじめた。
「山菜を煮たものか。良いね」
「山菜お好きなのですか?」
「まあね。ある意味山育ちだし」
「だからあんなに体力あったのね!」
ここに来るまでの霜惺を思い出して舞姫は一人頷く。
「まあ、そういうことで。さて、一応説明してやろうか」
器を置くと霜惺はすっと表情を引き締めた。
無意識のうちに舞とよねも背筋を伸ばす。
「―――陰陽師とも違うらしいが、妖退治を専門にする一族が山奥にいると聞いた事があってね。彼らはある神を祀って暮らしているらしい」
「神?」
舞姫が首を傾げると霜惺は口許に笑みを浮かべた。
「私も詳しくは知らないが、一族からは―――山之神、そう呼ばれているらしい」
「それが・・・」
舞姫の視線を受けて、よねが軽く頭を下げる。
「この一族にございます」
床に手をついて一礼すると、彼女は懐から一枚の文を取り出した。
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