序
―――何処までも、漆黒の闇が広がっている。
少女はゆっくりと瞼を開ける。
そこは、闇ばかりが広がっているとても寂しい場所だった。
「―――・・・寒い」
両手で肩を擦る。
そこで、少女はようやく自分が単一枚しか纏っていない事に気付いた。
「どうして・・・?」
確か、先程寝るために床に入ったところまでは覚えている。
しかし、今、自分がいるのは見慣れた部屋などではなく全く知らない場所だった。
「・・・・・・っ!?」
不意に、目の前を何かが蠢いた。
それは、黒く、大きな塊のようなもの。
『・・・・・・ヒ・・・メ、・・・』
ただの塊だったものが徐々に形を造っていく。
「・・・・・・っ!!」
『・・・ヒメ・・・』
―――必ず、彼の地へ。
・・・助けて、龍作―――。
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