第二話
日も高く昇り、そろそろ昼時だ。
龍作は内裏を退出してから来るといっていたからまだだろう。
自分は妖に狙われているというのに全く恐怖が沸かない。
夢の中ではあれほど怖かったというのに・・・。
むしろそちらを望んでいるのだろうか?
不意に、風が吹いたと思ったら御簾が上がった。
「―――よっ!久しぶりだな」
「りゅ・・・、龍作・・・様」
名を呼んだと思ったら舞姫は直ぐに視線を逸らした。
「・・・視線を逸らされていい思いをする者はいないな」
「・・・ごめんなさい」
舞姫は本当に申し訳なさそうに目を伏せる。
そんな舞姫を見て龍作は口をへの字に曲げる。
「いや、俺も悪かったよ・・・。―――で?俺を呼んだって事は何かあったんだろう?」
「・・・・・・、・・・」
「とりあえず・・・座っていいか?」
舞姫は一つ頷く。
「話があるの」
「ああ」
ついと舞姫は庭に目をやる。
同時に、懐かしさがこみ上げてくる。
だが、今はそんな話をする時ではない。
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