第一話 参
舞姫といえば、美しいと有名だが、その実かなりじゃじゃ馬姫との噂だ。
いや、噂ではない。
実際そうだった。
「・・・ねえ、よね」
「なりません!!」
「え?」
「どうせ黙っていろとおっしゃりたいのでしょう!?」
その通りだった。
「だって・・・」
皆に知れ渡れば余計な心配をかけることになる。
「では、せめて。龍作様をお呼びいたしましょう。そうすれば少しは姫様も安心できるでしょう?」
女房の問いかけに、舞姫は黙ってうつ向く。
自分はいつからこんなに弱くなってしまったのだろうか。
今の自分では、自分で何かをなしえる前に誰かに頼ってしまう。
「姫様・・・。私、文を書いてきますね。あ、朝餉はどうなさいますか?」
「・・・・・・運んでちょうだい」
「わかりました。すぐにお持ちいたします」
そう言うとよねは足早に部屋を出て行く。[ 4/36 ] [*戻る] [次へ#]
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