第一話 参

舞姫といえば、美しいと有名だが、その実かなりじゃじゃ馬姫との噂だ。

いや、噂ではない。

実際そうだった。

「・・・ねえ、よね」

「なりません!!」

「え?」

「どうせ黙っていろとおっしゃりたいのでしょう!?」

その通りだった。

「だって・・・」

皆に知れ渡れば余計な心配をかけることになる。

「では、せめて。龍作様をお呼びいたしましょう。そうすれば少しは姫様も安心できるでしょう?」

女房の問いかけに、舞姫は黙ってうつ向く。

自分はいつからこんなに弱くなってしまったのだろうか。

今の自分では、自分で何かをなしえる前に誰かに頼ってしまう。

「姫様・・・。私、文を書いてきますね。あ、朝餉はどうなさいますか?」

「・・・・・・運んでちょうだい」

「わかりました。すぐにお持ちいたします」

そう言うとよねは足早に部屋を出て行く。

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