第一話 弐

お膳に綺麗な料理が並べられていく。

太陽の光に反射してそれらはより一層綺麗に見えた。

「・・・?」

―――今。

不意に、声が聴こえた様な気がした。

「姫様・・・」

声が聴こえたのは彼女の主である姫のいる部屋の方からだった様に思う。

「・・・すみませんが、後はよろしくお願いします!!」


呼び止める他の女房達を振り切って主である姫の元へと向かう。





「姫様・・・!!舞姫様、ご無事ですか!?」

部屋の主の許可も得ずに勝手に御簾を上げて部屋の中へと足を踏み入れる。

「姫様・・・・・・っ!!」

長い黒髪を下げた少女がゆっくりとこちらを振り向く。

「ああ、よね・・・。どうしたの?そんなに慌てて・・・」

「どうしたの?ではありませんわ!!一体何があったのですか、舞姫様!!」

少女はグッと唇を噛み締める。

やはり、気付かれてしまったか。

この少女の名を、―――桜木舞という。

京の都を騒がせるある意味問題な姫である。




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