第五話 参
「そうあんまり自分を責めるなよ。お前も」
ポンと頭に手を置かれる。
なんだか懐かしいと思ってしまう。
ああ、自分はようやく帰ってきたんだなと思う。
「わかってます」
「・・・じゃあ、今夜から護衛は任せるよ」
「護衛は?」
「ああ、俺は他にやることがあるしな」
龍作はニヤリと笑った。
「―――あいつに手を出したら赦さない」
思わず背筋がゾクリとするする。
この目は本気だ。
「安心してください。手は出しませんから・・・」
青風は少し困ったように笑う。
それを見て龍作は一瞬、目を見開いた。
青風にはわからないほどであったけれど。
―――闇が濃くなった。
青風が抱える闇が以前よりも濃くなっている事に気付いた。
五年もの月日はやはり長かったようだ。
しかし、龍作はそのことには触れないでいようと思った。
「じゃあ、後は頼む」
「―――は。仰せのままに」
桜(はな)が散るように、時は過ぎ去る。
その限られた時の中で、人々は、何を思う。[ 21/36 ] [*戻る] [次へ#]
[目次]
[しおりを挟む]
TOPへ
(c) 2011 Kiri
下記は宣伝です。