第四話

―――大内裏。

春も終わりが近いという事もあってか人々は忙しなく動いている。

もちろん龍作も例外ではない。

ないのだが、実際そんなことよりも彼には気掛かりな事がある。

「・・・やっぱりな」

東の空を軽く睨み付ける。

微かに妖気を乗せた様な雲がある。

「そろそろ本当に呼ばなければならなくなりそうだな・・・」

「どうかしたんですか?」

「えっ・・・!?ああ、湍水君か。驚かせないでくれ」

湍水はクスリと笑う。

「すみません。なんかすごく深刻そうな顔をされていたので・・・」

「ああ、少しな。―――嫌な風だ」

そう言う龍作につられて湍水も空を見る。

「そう言われてみれば・・・確かに」

そうして、ふと思い出した様に懐から文を取り出す。

「そうでした。これを預かってきたんです」

「・・・誰からだ?」

「―――桜木直忠殿からです」

スッと龍作の表情が引き締まる。

「―――直忠殿から?」

「はい」

手紙を受けとると、龍作は高欄にもたれ掛かった。

「・・・そろそろ潮時かな」

龍作の表情から何かを読み取ったのか湍水も表情を引き締める。

「龍作様・・・」



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