第二話 弐
「・・・夢を見るの」
「夢?どんな?」
それは、何処までも果てしなく闇が続いていてとても寂しい場所だった。
まるで虚無の様な世界。
そして、闇の中で蠢いていたもの。
私はそれに見覚えがあった。
いや、妖気に覚えがあると言った方が正しいかもしれない。
舞姫は夢で見たこと全てを龍作に話した。
龍作は顎に手を当て考える仕草をする。
「夢か・・・・・・」
夢は時として現実と繋がっている。
夢だからといってあまり気を抜かないほうがいいに越した事は無い。
「それに・・・私・・・あの妖に覚えがあるの」
「何・・・!?」
「あれは・・・」
舞姫の身体が震える。
龍作はそっと手を伸ばして舞姫の細い身体を支える。
「あれは・・・お兄様を・・・お兄様の仇だった・・・!!」
両手で顔を覆って泣き崩れる舞姫を見て、龍作は何も言えなかった・・・。
なんとなく、舞姫を狙っている敵には予想がついていたからだ。
「姫・・・」
舞姫がこんな風になってしまったのはある一件からである。
それは舞姫にとっては忌まわしいものでしかないだろう。
大好きだった兄が妖に殺されたなどと・・・信じたくはなかったに違いない。
けれど、舞姫は類稀なる力の持ち主。
そのことを理解するまでに時間はかからなかった。
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