飲み込むような愛だった〈あやみゆ〉
桐箱に入った極上のお嬢様であった。
本人もまた冷たく整った、整いすぎた匂い立つような美女に手をかける美少女で、教養も教育も行き届いたあやめには過ぎたる相手であった。
それでも、欲しくて、欲しくて欲しくて、堪らなくて。
手を出した。
そんなつもりはなかった、とは最早言い訳だ。
冬の日のように穏やかに凍えた心を許してくれた彼女は、あやめとふたりきりになることも許してくれるようになった。最初からそうではない。己の立場を理解する彼女は決して不良と呼ばれるあやめと二人きりで会うことはしなかったし、なることはなかった。
いつしかそれを許されたとき、その信頼が嬉しくて痛かったのをあやめは覚えている。
その頃にはあやめは脳裏で幾度も彼女を穢していた。
そうした日々のなか、それは突然に起きた。
意図したことではない。
体勢を崩してしまったあやめが彼女を、美由を押し倒す形になった。
それも、豊かな乳房に手をかけるようにして。
「悪いッ」
慌てて退こうとしたあやめの手を、美由が掴んだ。
曲線描く胸をなぞらされる指先、そのままゆっくりと押し付けられるやわらかな胸の向こう、微かに鼓動を感じる。
あやめの股ぐらに一気に熱が集まった。
「み、ゆ……」
「先輩なら、よろしいんですよ」
それとも、といつものように表情薄く美由は訊ねる。
「初物はお嫌いですか?」
口付けも知らない女など面倒なだけだと過去の自分は嘲笑うだろう。
あやめは美由に一つひとつ丁寧に教え込み、愛撫を施す。
抱き上げて寝かせたベッドの下には既に美由の下着も落ちて、彼女はいま眩いばかりの裸体をあやめの眼前に晒している。
あやめの手にも余るふゆんとした感触の大きな乳房をやわやわと揉みながら乳嘴を舐めて、食んで、吸って、じゅぱ、と立てた音に小さな嬌声が重なったことが無邪気に嬉しくなる。
女は乳房ではあまり快楽を得ることがないけれど、美由のこれだけたっぷりと大きな乳房を見ればそのままにしておくのは勿体なく思う。得難いだけで、開発すれば胸だけで股ぐらをぐっしょりと濡らすことも可能なことをあやめは知っていた。
けれども処女にそれを求めるのは酷なこと、あやめは唇でゆっくりと腹をたどり、臍をぐり、と舐めて美由が驚いた拍子に彼女のしなやかな両足を開かせる。
淡い薄紅のぴったりと閉じた秘裂は、あやめが指でくっぱりと開けばとろとろと蜜を零して快楽の証を見せた。
「触るぞ」
「……はい」
指を差し込もうとして、あやめは動きを止める。
美由の両足を固定するように持ち、腹這いになったあやめになにをするつもりか理解した美由が小さな声で制止をかけるが、その声には力がない。あやめが止めるつもりなどないことを分かっているのだ。
こんなときでも賢すぎるのはいっそ哀れだと思いつつ、あやめは秘裂に舌を這わせる。
じゅぷ、じゅぅ、ずっ、ずるる。
水音を立てながら舐めて啜って、秘裂の奥へ舌を潜り込ませる。
美由のことだ、自慰などしたこともないだろう。
指一本の痛みとてあやめはなるべく与えたくない。
にゅるにゅると舌で秘孔を解して、溢れ続ける蜜を啜っていると美由が小さく喘ぎ始めた。
あやめは片足から手を放し、その手で花芯に触れる。
ぷっくりと赤く膨らんだ花芯は蜜をまとわせた指で撫でるだけで美由から悲鳴のような嬌声を上げさせた。
「や、や、そこ、だめっ」
「だめじゃなくて『いい』な」
数度花芯を突いたあやめはその指を秘裂へ這わせ代わりに唇を花芯へ寄せた。
じゅぷ。
花芯を吸い上げるのとあやめの中指が美由のナカへ入るのは同時。
「やああっ」
花芯をあめ玉のように舐め転がしながら、あやめは丁寧に美由のナカのヒダを擦り上げていく。
くるり、くるりと指を動かして、少しずつ拓かれていく美由のナカ。ざらついた尿道より奥の部分を擦り上げてやれば「やめて、やめて」と必死な声を上げるのがいじらしい。
「やめてくださっ……で、出ちゃ……っ」
「イクだけだから安心しろぉ」
「い、く……っ?」
あやめは頃合いを見て指を増やし、美由の体が殊更跳ねる場所をきゅうきゅうと押すように擦り上げた。
段々と力の入っていく美由の体。ナカの締め付けはきつく、挿れたときを想像してあやめはごくりと唾を飲み込む。
「あ、あ、ああああっ!」
ガクガクと美由の全身が震えて、あやめの手がとろとろに濡れた。
あやめは体を起こすと悶えるように体を丸める美由を愛おしげに見つめ、蟀谷や耳、頬や目元に幾度も口付けを落とし、美由が顔を上げれば平素よりも一層赤く色づいた唇を吸った。
舌を絡め、呼吸を奪って、放してやった頃にはとろん、とした顔の美由がいる。
「美由」
「は、い……」
「挿れてもいいか?」
一拍の間。
小さな首肯。
あやめは再び美由の唇を奪いながら、彼女の片足を肩にかける。
腹につくほど勃ち上がったものを秘裂へあてがったとき、確かに美由はまたたきをした。
ほんとうに、賢すぎる彼女を哀れだとあやめは思う。
「ごめんなぁ──孕んでくれ」
避妊具をつけぬまま、美由は先走りでどろどろになった欲を美由のナカへ一息に押し込んだ。
「あ、ああああッ」
痛みに目を見開く美由の蟀谷を耳を、首筋を、乳嘴を啄み、片手で花芯を摘んで意識をそらしてやりながら、それでもあやめは腰を動かした。
ぐにゅぐにゅと蠕動する媚肉があやめをきゅうきゅうにしめつけて、奥へ奥へと誘ってくる。
あやめは童貞かと自嘲したくなるほど性急な動きで美由を責め立て、子宮口をぐりぐりと刺激してやる。
子宮での快楽を覚えてしまえば、もうほかの快楽だけでは満足できないことをあやめは経験から知っていた。
「ひっぃ、痛いのに、なんで、おかしっ」
「俺がそうしてるだけだから、なんにもおかしくねぇよ」
痛みだけではない快楽に戸惑う美由を諭し、あやめは少しでも拓けばいいと子宮口を丹念に犯す。
先程から水音が絶えない。
美由の口からもひっきりなしに声が上がっている。
「なぁ、美由ぅ……孕め、孕めよ……俺のものになってくれ」
ぐぐ、と子宮口へ切っ先を埋める。
ひゅっと息を呑み、目を見開いた美由があやめを凝視してくるのに微笑みで応え──子宮口を貫いた。
甲高い嬌声のなかごちゅごちゅと子宮を直接犯し、あやめはせり上がってくる感覚に自身も荒い声を上げる。
もうすぐ、というところで美由が両の腕を伸ばしてあやめを抱きしめた。ぐ、と引き寄せられた耳元。
「ぜんぶあげるわ」
確かに聞こえた言葉を認識した瞬間、あやめの欲が爆ぜてどぷどぷと美由の子宮をどろどろに染め上げていく。
あやめは最後の一滴までも美由の子宮に出し切ってからようやく抜き、いつの間に用意していたのかタンポンを美由のナカに押し込んだ。
子宮で覚えさせられた快楽に身を震わせる美由に抗う術はなく、また抗う様子もなく、あやめに強く抱きしめられてからようやく上気した媚貌を上げる。
「……好きだ」
今更だ。先に言うべきことだ。
それなのに美由は微笑み、覚えたての口付けをあやめの唇へ贈る。
「しあわせにしてあげる」
ああ、とあやめは思う。
彼女に叶う日は一生来ない。
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