02 「こんなに、こんなに好きなのに、なんでわかってくれないんだ …?」 ディオ



アンケートお礼 2


02「こんなに、こんなに好きなのに、なんで分かってくれないんだ…?」



※今後の展開の大きなネタバレとなっています。
覚悟は出来ているっ!!っていう人のみ、スクロールしてください。


















ポロリポロリと、にいさまの瞳から涙の雫が流れ落ちていく。
青い瞳からこぼれ落ちていく雫は青くキラキラと反射して、とても綺麗だと思っていた。



いまの時刻は夜で、室内はとても暗い。
蝋燭の灯りのみがぼんやりと室内を照らしている。


いまこの部屋にいるのは、にいさまと私のみで、兄様は新しい信者を探してくると夜の街に繰り出していった。それが数刻前。
悪のカリスマといわれるにいさまは私を一人にはしておけないということでこの屋敷に残ったのだけれど、そのにいさまのベッドの上で押し倒されています。


どうしてこうなったんでしょうかねぇ。


人間であった頃と変わらず、にいさまは私に関する出来事には泣き虫である。
ただ、赤い瞳に変わってしまっただけで、私のとってもにいさまはまったく変わっていない。


「なんで、なんでだ、真?なんで、俺の目をみて話してくれないんだ?」


けれども、その赤い瞳になってしまったことが、私にとってにいさまを変えてしまうには十分だったのだ。
青い瞳から溢れる涙が、好きだった。

にいさまが私のためだけに流してくれる涙だったんだ。



けれど、この赤い瞳のにいさまは、私だけのものではなくなってしまった。
人間であった頃よりもずっと、ずっと、人にバケモノをまとめ上げるにいさまは、もう私の手に届かない。


だから、目を見ることができなくなってしまった。
わかってる。
病んでる人の目をみないことがどれだけ自分の身を滅ぼすことにつながるのかを。いま現在だってにいさまに押し倒されている。
背中にあたるシーツの感触、冷たい手に握り締められる両手首。
頬に落ちてくるにいさまの雫。

「こんなに、こんなに好きなのに、なんでわかってくれないんだ…?!」

泣き言にも近いにいさまの訴えに私の胸にある罪悪感がさらに刺激される。

にいさまと、兄様は、私の被害者の中でも、私のためだけに人間をやめた、被害者だ。


私が別の世界へ飛んでしまったとのキャラクターがどうなってしまうのかを自らの身をもって証明してくれた、哀れな、可哀想なキャラクターたちなのだ。

本当は、兄様はジョースターの気高い血統を遺して死んでいくはずだった。
にいさまは、その兄様を殺し、さらに血族を根絶やしにしようとするはずだったのに。


まさに最終決戦の船の中、私はエリナさんを助けるため、彼女を階段へと追いやって、二人を振り返って。


ふたりの目の前で別の世界へ飛び、ジョセフに出会ったのである。




私を目の前で見失った二人があのときにどのような約束を、契約を交わしたのかなんて、私は知らない。
けれど、兄様が吸血鬼になっている時点である程度は察しがついていた。



柔らかな黒みがかった緑色が、綺麗なアイスブルーの瞳が、どちらも冷たいピジョンブラッドへと変化してしまっているのを見た私の衝撃は、多少なりとも理解してもらいたいのである。

つまり。


「…ごめん、にいさま。もう少しだけ、時間が欲しいの。お願い、私、にいさまたちの新しい瞳の色も、好きになれるように、頑張るから…!」


大好きだったあの二つの色がもう見れないことを、認めたくないだけなのだ。


私の返答に、にいさまは瞬きとともに雫をこぼして、口元だけで無理矢理笑って見せた。


「…わかった。じゃぁ、待つとしよう。時間は、たくさんあるのだからな」



ごめんね、にいさま。兄様。







アンケートありがとうございます。
ディオもなかなか人気ありますね。







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