はち








今日から、サブウェイボスのインゴさんとエメットさんがバトルサブウェイに研修にくるそうです。
インゴとエメット。二次創作ではよく見ていたけど、実際にはどんな感じなんだろう。
痛いことをする人じゃなきゃいいな、そうであってほしいな。



「こんにちは、遠いところをよくおこしくださいました。わたくしたちがサブウェイマスターのノボリとクダリでございます」
「到着したばっかりで疲れてると思うけど、とりあえずこっちのステーションの案内をするね!」

クダリさんに抱きかかえられながら昨日クリーニングの終わったらお揃いのコートを握りしめる。顔を見ないように俯いているけど、お二方の視線が突き刺さる。


「ワタクシ、インゴと申しマス。今日から一週間、どうぞよろしくお願いしますネ」
「ボク、エメット!日本には初めて来たからわからないこと沢山!教えてくれるとウレシイ!」



金髪の少しだけ長めに髪の毛をさらりと揺らして二人は鋭い犬歯をむき出しにして口元だけで笑う。
これはダメだ。この人たちは、ダメ。怖い。

私を抱えているクダリさんの首に腕を回して縋り付く。

怖い。


「どうしたの真?大丈夫だよ、怖いことなんて無いよ」

クダリさんが慰めるように私の頭を撫でる。それにふるふると顔を横に振って否定する。
あの二人の瞳は、見たことがある。

真っ直ぐの銀髪と緩いウェーブのかかっている白髪の二人が、その目をしていた。
罠にかかりそうな獲物を今か今かと待っている肉食獣の目だ。
罠にかかった途端に牙を剥いて、骨すら残すことなく獲物を蹂躙してやる、と言っている目だ。


私はとっても怖い!お願いだからこの人たちと私だけにしないで!


ぎゅう、とさらに強く抱きしめると、クダリさんは首を傾げて、インゴさんたちに向かって

「ごめんね、この子人見知りなんだ。慣れるまで少しかかると思うから許してあげてね」


そう言っているのが聞こえる。

「ソウですか、それならば仕方アリマセン。はやく慣れてくだされば良いのデスガ」
「女の子とは仲良くシタイ!」

綺麗な笑顔ですけども、私は仲良くしたくないです。心の底から。





私の心の声は聞こえないまま、ステーション内の案内が開始された。



案内はノボリさんが先頭になって各施設の説明と使いかたを説明していて、クダリさんと私は最後尾だ。
クダリさんは珍しく私がクダリさんにずっとしがみついたままなのを気にしてくれているらしく、背中を叩いたり頭を撫でたりと私をあやすことに忙しそうだ。

「インゴもエメットもいい人だと聞いてるよ?何が怖いの?」

不思議そうなクダリさん。
ノボリさんとクダリさんはどうやらインゴさんとエメットさんなら人形のふりをしないでいいようなのだが、私としては是非人形のふりを続けていたい。
人形のふりをしていれば二人は私を放すことはできないでしょう。ずっと抱えてもらえるならそれに越したことはない。



うん、痛い思いをしたくないから、しばらくこのままでいいです。

















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