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地下水路でアネット・バーキンに遭遇した。

エイダに向けられていた銃口にいち早く気がついたレオンがエイダをかばい、負傷した。

「あのくそ女!!」


悪態をついたエイダはそのまま女を追いかけていってしまい、残ったのは真と負傷してしまい意識の無いレオン。


何度目かわかないが、真は呟いた。

「困った。どうしよう」

レオンを一人で置いていくことなんてできないし、かといってエイダを追いかけるには遅すぎた。
レオンを見ただけでは血がにじんでいるが別段多い量の血が流れているわけはではない。

「レオン兄さ――」


レオンの横に座ろうとしたその瞬間である。





ずるっ

「…っ!」


真の足が水に取られてすべった。

身体の傾いた真は体勢を立て直す間もなく激しい音を立てて横を流れる水路へと落ちた。



真は金槌ではない。金槌ではないが状況が悪かった。

がぼがぼと汚水が真の口の中へと入ってきて、それを吐きだすのに必死になっているうちにレオンの姿は見えなくなっていた。







シェリーを探していたクレアは壁にもたれてぐったりとしているレオンの姿を発見した。もしかして死んでしまっているのか。

慌てて彼の傍に近寄り、呼吸を確かめるために彼の顔を覗き込む。

微かに聞こえる呼吸にほっと息を吐く。

人の気配に気がついたのか、レオンの瞼がふるふると震えながら開き、クレアの姿をとらえた。


「…クレアか?」

「あぁ、よかったレオン。一体何があったの?」

「撃たれたんだ。少しの間気絶していたのか…」

レオンは銃創をクレアに見せる。
クレアの顔がしかめられたのを見て苦笑しつつも、周りを見ながら言葉を口にする。


「クソみたいに痛いけど死なないと思うよ。真、エイダは――。真?真はどこだ?」


周りを見回しながらレオンは真の姿を探す。真、真と名前を呼びながら立ち上がろうとするレオンを押しとどめて、クレアは真について問いかけた。

「落ち着いてレオン、傷口が開くわ!真とエイダについては私が探すから、あなたはきちんと休んで。私も小さな女の子と一緒にいたの。でも下水道に落ちてしまって。もしかしたら三人とも見つけられるかも」

息の荒いレオンは傷が痛むのか、仕方なしに頷いた。


「ぼくもあと数分で跡を追えると思う。真を見つけたらこう言っておいてくれ。


―悪い子だなって」




冗談めかして笑ったレオンにクレアもいたずらっ子の笑顔で答える。

「OK」


クレアの足音が遠のいていくのを聞きながらレオンは真の姿を思い浮かべる。


あの子は俺から離れたら死んでしまうことを理解していた。ということは一人でそのように俺から離れたのではなく、連れ去られたのか、何かに巻き込まれたのか。



「あぁ、くそ…。見つかったら今度こそ抱えたまま移動してやる」

口元は笑っていて、冗談を言っているように聞こえる。
抱えた瞬間に顔を真っ赤にする真の姿が簡単に想像できて、ますます真に会いたくなった。


人体欠損のことはまったく考えなかった。














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