1月24日 午前0時

日付が変わる瞬間。この時を楽しみにするのは小学生の時のクリスマス以来。
真っ暗な部屋の、布団の中。
0時ぴったりに「おめでとう」の言葉と共に正面から抱き締められた。
「ふふ……、ありがとうございます」
あったかい。体温だけじゃなくて、抱き締める腕の力とか緩んだ声の響きとか、額に触れる唇の感触だとか。啓恵さんの全てに、ホッとする。

「あー……、その、今年はプレゼント間に合ってなくて」
「啓恵さんってパターンでも受け付けますけど」
「……いったい誰に感化されたんだ」
「ご想像にお任せシマス」

啓恵さんが俺のために悩んでくれてるのは知ってる。悩みすぎて飲みの席で中島さんにそれを漏らしたことも。
ちょっと前に中島さんから「全裸のヒロの腰にリボン巻いておくの、どう?」と言う謎のLINEもきていたのは、その時のもの。
どう、と言われても個人的には上半身裸で下スラックスくらいの方が好きだ。

別にプレゼントなんてなくても、祝う気持ちは十分なほど感じてる。
何日も前からたくさんの料理本とお菓子の本に付箋が貼られ研究していたのを知っている。カレンダーにはケーキの柄まで描いてたくらい。

それだけでも、もうお腹いっぱいになれる。

朝になったら啓恵さんは仕事で、俺には大学とバイトがある。
あんまり夜更かしは出来ないけど、寝入る直前まで布団の中でひっつくくらいは許されるだろう。
柔らかく、甘く、舌を吸われてからだの奥がじんとした。思わず反応した足が啓恵さんの脚と絡む。擦れる肌の感触がえっちだ。

「……週末までがまんな」
「はーい」

セックス自体に慣れたわけではないけれど、啓恵さんの隣りは心地好い。今年も、この日との傍で過ごせることがなにより幸せで。
その想いを伝えるべく、隣の体温に抱きついた。


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