カゲフミ
鬼のままでし続ける遊びには夢などなくて
目隠しの私が両手を広げながら
あなたのカゲを追いかける
悲しいからって止めるのも許されぬこのゲームも
そろそろ行き詰まり自然に別の道
選び始めていた
泣きたい気持ちを押さえつけても
いつまでも恋人のふりは出来ない
暗く沈んだ弥生風戯れる帰り道には
行き交う人もなく花びらだけが躍る
アゼリアの赤が眩しい
遠く棚引く列車の音が時間を刻んでいく
無理して手放したぬくもりの重さが
足に絡みつく
いつまでもカゲロウ追いかけている
サヨナラを決めても一人になれない
あなたなしでも生きていけるよなんて強がってみても
肩を吹き抜けて行く風の冷たさにふと
振り返りあなたを探す
幾重にもなる哀しみの言葉だけを数えている
思い出を繕う気にもなれず見上げた空
バラのよう
涙こらえてカゲを踏んでいく
二人の終われないカゲフミ遊び
泣きたい気持ち押さえつけても
カゲロウ揺れている愛が見えない
[mokuji]
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