とある生徒会長の怪奇談 | ナノ
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ある日、突然思い出した。


そこは昔よく遊んだ小学校のグラウンド。
そして小学生の自分がそこに立っていた。

立っているのではない、走っている。時計を見れば学校が終わっていつも遊んでいた時間。

小学校の校庭で、たくさんの子どもが走り回っている。


「待てー!!――くん!」


「は、やっ!」


鬼ごっこ、だろうか。


一人の男の子が追いかけていた。


それは自分。それを見て思い出す。ああ、よくテニスをしない日は友人と遊んでいたなと。
当時は授業が終わればテニススクールに行くか、友人と校庭で遊んでいた。
鬼ごっこ、かくれんぼ、花一匁、かごめかごめ。

小学校の低学年の頃の自分は皆と沢山遊んでいた。
日が暮れるまで、日が暮れても遊んでいて時に親に怒られる事もあった。

でもそれも学年が上がるにつれみんなで遊ぶという事がなくなってきた。
一人は習い事、一人は塾、そして自分はテニススクール。

放課後の校庭はさびしいものだった。
誰もいない。遊ぶ者のいない校庭。そしてたくさんの子どもがいる校舎。
校舎を見上げれば景色は変わり教室に入る。
教室は男子と女子、二つに分かれていた。
昔は分け隔てなく遊んでいたのに、高学年ともなるとわかれてしまう。


男子も女子も気の合う同姓とばかり遊び、話す。
でもそれは学校内だけ、授業が終わればそれぞれするべき事があるからじゃあなと別れる。
誰かと一緒に帰った通学路を一人で歩く。


一人で、歩いて、いた。はず。
あれ、でも、誰か、イタ。は、ズ、ダレが、イ、た?


「……くん」


呼ばれて、隣を見る。そこには、男の子がいた。俯いているから顔は見えないけれど、でもその子の声は一度聞いた事のある声、で。
ゆっくりとその子が顔を上げる。あげて、こっちを、自分の方を見る。

でも、顔は見えなくて、


「僕を、思い、出して。」


「!!」


そこにあるべき物はなかった。目と鼻がなくて、口しかなくて。
口だけで笑っている状態。手が伸ばされる。自分に、手が


「ど、どうしたにゃ?」


慌てた声をかけられる。それはチームメイトでありダブルスパートナーであり友人の物。
周りを見れば心配そうな目で見てくる、チームメイト。
大丈夫だと言えば、みんなよかったという顔をして着替えを再開する。


「(今のは、)」


どこかで聞いた声。自分の名前を呼んでいた。
あの男の子はいない。いるはずがない、こんな所に。
頭を振り、着替えを再開する。


「そういえば、知ってるか?あの噂」


「なんすか?噂って」


「クラスの女子達が話してたんだけどな?出るらしいぜ」


「出るって、」


「ゆーれいだよ、ゆーれい!」


幽霊という言葉に反応したのか着替え終わったであろう、どんな話か聞いていた。
彼が言うには放課後に小学生くらいの男の子が校舎ないを走り回っているらしい。
まるで、鬼ごっこをしているように、追いかけられた者もいるとか。
そんな話信じもしなかったが、でも先ほどの事を思い出し、少年は。


もしかしたら、と思った。






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