とある生徒会長の怪奇談 | ナノ
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それは突然現れた。いつも通りに登校し特に変わらない時間を過ごした。
部活も何事もなく終わり、いつもと同じ道で自宅に向かっていた。
いつも通り帰宅できるはず、だった。


「……?」


帰宅途中、公園の側を歩いていると公園の中で蹲って泣いている子どもを見た。
小学生。低学年ぐらいの男の子。
遊んでいて転んだか、それとも同学年にからかわれて泣いているかのどちらかであることは予想がついた。が


「(転んだ確率87%)」


近くに他の子どもの姿はなく、からかわれたからと言ってこんな時間まで泣き続けているとは思えない。
それに、泣いている子どもの服には所々砂らしき物がついていて汚れていることから遊んでいて転んだのだと結論に至った。
結論に至ったのはいいが、一回少年を見つけてしまったからにはこのまま無視、というわけにはいかなくなった。
日はまだ落ちてはいないが、もうすぐで夜になってしまう。
それにこのままというわけにもいかない。
大丈夫か、と声をかけようと公園の中に入り、子どもに触れようとした瞬間、
ぞくり、と悪寒がした。


触るなと、話しかけるなと本能が言っていた。
走って、逃げろと。公園から立ち去れと、

でも、足が動かなかった。地面に縫い付けられたかのように動かないのだ。

汗を、冷や汗をかいているのが分かった。


目を離せない、動けない。
何とか足でも動かそうとしたとき、


「ねぇ、お兄ちゃん。」


俯いていた子どもが俯いたまま、後ろにいるのを知っているといわんばかりに声をかけてきた。


「ねぇお兄ちゃん。」


子どもが声をかけてくる。それに答えられない。


「知らない?」


聞いてくるが、答えられない。


「お兄ちゃん、知らない?」


子どもが立ち上がりながら聞いてくる。
そしてゆっくりとこちらを、向いて――――――


「ボク、の目。知らない?」


振り返った子どもの顔には本来目があるべき場所が空洞になっていた。








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