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その後どうなったかはわからなかったが、気になりちらりと窓から見てみれば、電源は切れていた。
最初からついていなかったかのように。
でもそれからだった。呪いの動画の噂が流れ始め、それを見たとされる生徒達が休むようになったのは。
だからジャッカルは御杞に相談に来た。
「なるほど。だから最近パソコンを使うたびに良からぬ気配を感じたんですね。」
「?普段はそうじゃないのか?」
「ええ。普段はそんな気配は感じません。感じるのは授業等でパソコンを使う時だけ。
だからそれに関する事だろうと思っていたんですが、
桑原君のおかげで原因がわかりました。」
笑みを浮かべる御杞。しかしその笑みがちょっとだけ怖いとジャッカルは思った。
なぜか、迫力がある。
多分、ではあるが
「良からぬ気配の原因がお前を除いた生徒達の自業自得なのに、
まわりを巻き込まないために祓う必要が出てきたからだ。だから気にするな。」
いつもの事だとまるで心を読んだかのように滝亜が言った。
ふふと笑う御杞はいつもと変わりないように見えたけれど、
その内心はきっと友人達をどうしてやろうかと考えているだろう。
「鳳凰寺、あいつ等は」
「大丈夫ですよ、教師に少々絞ってもらうだけにしますから。」
少々ではすまない気がするのは自分だけだろうか。
かなり絞られそうな気がしてならない。でも、それで彼らが助かるなら。
ジャッカルはほっとした様子で、息をつき、御杞に言った。
「俺も手伝うぜ。」
「ありがとうございます。でも、どういうモノか、わかってからそれはお願いします。
今のところはその動画へのアクセス方法を教えていただければそれで。」
わかったとジャッカルは頷き、タイミングよく滝亜が差し出した紙に友人が例の動画へとアクセスした時の事を思い出しながら書く。
途中まで書いて、手が止まる。
思い出せない。
呪いの動画と打って、検索して。
動画サイトを選らんで、それで。
「どうした」
「あ、いや、思い出せねぇんだ。」
「?」
「途中まではどうやってたか思い出せるんだが、後が思い出せねぇんだ。」
そう言った瞬間御杞の表情が変わった。
急に険しくなって、失礼といい書きかけの紙を見た。
しばらくして、重いため息をついて、それを机に置いた。
「ここまででいいです。これ以上思い出そうとすると、危ないかもしれませんから。」
でも、困りましたねと呟きながら紙を眺める。
そんな御杞を見てジャッカルも、思い出そうと記憶を手繰り寄せる。
まるで慣れたようにアクセスしていく友人。
噂で聞いたというよりは、まるで自分が作った動画にアクセスしているようにに思えて、
ふと滝亜が言った。
「会長。書記か、切原に聞いたらどうだ?絶対知ってるぜ。」
柳と切原。柳は知っていそうだがなぜ切原もと思ったが、
彼の交友関係の広さからなにか知っているかもしれないとジャッカルは思った。
でも、御杞はそうですねと頷く、がまだ紙を見て悩んでいるようだった。
「どうしたんだ?鳳凰寺の奴。」
「さあな。」
御杞が悩む理由を知っているけれど、本人がなにも言わないから教えない。
滝亜の態度がそう言っていたためジャッカルもそれ以上は聞けなかった。
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