暖かな日には | ナノ



ぽかぽかと暖かな日差し。
青々しい空に、眩い光。

絶好の昼寝日和。



***



あーあ。
がっかりしたような声音を心の中で吐くわりには、総司の口元はにんまりと緩んでいた。

肩にかかる重みは不快ではなく、むしろ心地良い。
自分の肩に身を預け、すーすーと軽やかな寝息をたてる千鶴に目を向けると、その表情は穏やかだ。
春の暖かな日差しを受けながら談笑していたはずが、いつの間にか千鶴のみが睡魔に負けてしまったらしい。


話をしようか、と誘ったのは総司で、しかし千鶴は嫌な顔一つせず、総司の話を聞いてくれた。
思えば、その時から僅かに瞳が微睡んでいた気がする。


「(……あろうことか僕に身を預けるなんて)」


悪戯されても、文句は言えないよ。
そう心中で呟き、総司は千鶴の手をつついてみるが、起きる気配はない。
今度は手を握ってみる。が、やはり起きる気配は全く見えない。


くすくすと笑いがこみ上がる。
しかしすぐに千鶴を起こさないように笑いを堪える。
起こすのが可哀想になるくらい、彼女の表情は穏やかであることが理由ではあるが、もう少しこの幸せな時間を味わっていたいのもまた事実。


「(千鶴ちゃんって予想以上に無防備だよね)」


日差しに照らされてきらきらと光る千鶴の髪が風に舞い、ふわりと優しい匂いがした。
その匂いに、さらり、と彼女の髪を撫でてみる。
さらさらと綺麗なその髪は触り心地もいい。


「……ん、」


くすぐったいのか、小さく唸った千鶴は更に総司に身を寄せてくる。
少し傾いた総司の体は、無意識のうちに転ばないようにと千鶴に体重をかける。

ふわり、と強くなった千鶴の匂い。
甘くて優しくて。微かに太陽の匂いもする。
もう一度、千鶴の髪に触れる。
総司の唇が千鶴の髪に触れる直前……。


「沖田、さん……?」

「……起きちゃった?もう少し寝てもいいよ」

「……だめ、です。風邪を、ひいちゃいます……」

「ああ、そうだね。じゃあ、僕の部屋に移動しようか。ここからすぐだし、そこでもう少し眠ってなよ」

「……ふふっ。沖田さん、優しいです」


そう言って、再び眠りに落ちる彼女。
くすくす笑いながらそっと抱き上げて、総司は自室に向かう。


今朝面倒臭くて畳まず置いていた布団の上に総司はそっと千鶴を下ろす。
その横に総司はごろりと横になって。

起きた時の彼女の反応が楽しみだな。

そんなことを考えながら、総司もまた、瞳を閉じた。




(2014.03.08)


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