現在千鶴と白椿は居酒屋に向かうために下町を歩いている 所々、わかりづらいところに警備の者が立っている他は意外と普通に妖怪が歩いている 「………」 千鶴は隣を歩く白椿をちらっと見る すると彼女もこちらを見ていたのか千鶴と目が合う 顔のつくりはほぼ千景と同じなのだが表情の作り方や態度が全く違うためかなりわかりやすい 「弟さんは部屋に戻ったの?」 「知らね。あいつの事はどうでもいいだろ」 「相当仲悪そうね…」 白椿がチラッと後ろを確認すると、後ろにはいつの間にか漆原が立っている 「あら」 「千景さんはどうやら部屋に戻られたようです」 「えー…」 白椿がブー垂れていると、どこからか声が聞こえてくる 「待ってくださーい!!!」 三人が後ろを振り返ると白髪の百瀬が眠たそうな千景を引っ張ってこちらに走ってくる 「…チッ」 大きく舌打ちをし、千景を睨みつけた千鶴は白椿の腕をグッと引き寄せる 「おっと…」 引き寄せられた白椿はよろけて千鶴の腕にぶつかる ふと顔を上げ、千鶴を見ると彼はじっと白椿を見ている 彼はなぜそんなに白椿の事を見つめるのか 「すいません!どうも百瀬です!」 「眠いから離せよぉ……」 駄々をこねる千景を無理やり引っ張ってのであろう百瀬は漆原と白椿の前に立つ 「そんなに走ってこなくてもよかったのに」 白椿はそう言うと微笑んで百瀬を観察する 彼は夜に映える真っ白な髪を持っていて可愛い 「ほんとだよ。なんで俺連れてきたんだよ」 「一人は危険でしょ!いきなり一人で帰ってきて、千鶴君はどこに行ったの?って聞いたら狛兎の藩主ナンパしてどっか行ったとかいうから!!」 「見てよほら。事実だったでしょ」 百瀬は千鶴に目線を向ける 勿論そこには白椿の腕を掴んだ千鶴の姿がある 「誰が事実だボケ」 「ボケとか口悪ー。マジないわー」 「もう二人ともやめてよこんなところで!」 大変そうだ、百瀬 その様子をだまーって見つめている白椿と漆原 「…おうっ」 またまた急に白椿の腕を引っ張った千鶴は先に歩き出す 「ちょっと千鶴君!!!」 百瀬の呼びかけを完全無視の千鶴 「んんん…」 何やらイライラしている千景は百瀬と漆原の腕を掴んで千鶴の後を追った [演目] [しおりを挟む] |