「白椿さんは執事さんの事どう思っているんですか!?」 テーブルに身を乗り出して白椿にグイグイ来る小鳥遊 もうこうなったらいっちゃえ的な 「どうって…いい執事だと思うけど」 「そうじゃなくて、好き!ですか?」 小鳥遊の問いに白椿は少しの間を開けて考える そして出た答え 「好きよ?」 その答えを聞いた小鳥遊は思いっきりガーンという表情をする 「……ということは、執事さんと付き合ってる…とか?」 「おバカ。禁止事項よ」 「あ、あはは…ですよね…」 大きく苦笑いをした小鳥遊 「そういうアンタは彼女いないの?」 「これが残念ながら」 「カッコいいし若くて藩主なのに、周りの女は何してるんだろうね」 「いやぁ、俺は普通だよ」 少し寂しそうな表情の小鳥遊 「ご趣味は?」 「うーん……」 そう言ったっきり考え込む彼 なんかお見合いみたいな感じになってきている 「休みの日は何してるの?」 「んー…」 何やら言いづらそうな彼は頭を抱えている 「えっ。意外と遊び歩いてるとか?」 「違うよ!そんなわけないじゃない!!あれだよ…小説とか呼んでるよ」 「小説。読書ってことね」 「そうそう」 「どんな小説?」 「…結構物語系とか多いかも」 「小難しい小説ではないってことね」 「そうだね。俺そう言うの読むと頭痛くなっちゃうから」 「あー。あたし結構いろんなの読むけど最近初めて恋愛小説読んだ」 白椿がそう言うと小鳥遊はびっくりした表情をしている 「あんたも読むの?」 「……」 そう言われた小鳥遊は少し恥ずかしそうに頷く 「へぇー。結構可愛いのね」 「そう言われるのが一番恥ずかしいんだよ…」 「じゃあ結構理想が高いから彼女もできないっていうこと?」 「それとこれとはちょっと違うけど、ちょっと憧れるところはあるかな」 「ふぅん。でも恋愛小説って途中で悲しくなるシーンが絶対あるわよね。あたしあれが苦手なの」 「そこが醍醐味なのに!!」 ちょっとテンションが高くなってきた小鳥遊 「あたし涙もろいし、かなり感情移入しちゃうから辛いのよねー」 「あぁ…そうか。全部の恋愛小説がハッピーエンドってわけじゃないもんね」 「そう。あたしだったら無理やりハッピーエンドにするけどね」 「そんなぁ」 共通の趣味を持つ人と会えたことがかなり嬉しかったのか 小鳥遊はテーブル越しだが白椿との距離を詰める 「やっぱり居酒屋とかに行けばよかったわね」 「どうして?」 「距離がちょっと遠いし、なんかもっと隣で話せた方がよかったわ」 「ん、んんん…。確かに…」 小鳥遊がチラッと横を見るとそこには小さめのソファーがある そのまま視線を白椿に移すと白椿もソファーに気付いたようで小首をかしげる 「どうぞっ」 小鳥遊は立ち上がると白椿の横に行き手を差し出す 「ありがと」 小鳥遊の指先に手を添えた白椿は彼にソファーまでエスコートされる 白椿が先に腰を下ろすとソファーはもう一人分が限界 それでも小鳥遊は白椿に気を使い少し距離を取り端っこに座る ほとんど距離はとれていないのだが 「お酒は好き?」 「好きだよ」 「さっきから結構飲んでるけど全然酔ってないもんね」 「俺結構飲むんだけどなかなか酔わないというか、酔うまで飲んだことないなぁ」 「相当強いのね。いいことじゃない」 白椿はそう言うと後ろの背もたれに腕をのせ小鳥遊の方を向く 「白椿さんって結構自由だね」 「生憎おしとやかは苦手でねぇ」 「そっちの方が気楽でいいや」 小鳥遊はそう言うと足を組み大きく伸びをする 軍服のせいなのか腕がパツパツになってしまっている 「軍服邪魔なら脱いじゃえば?」 「いいの?」 「いいわよ」 小鳥遊は座ったまま軍服のボタンをはずしていく 白椿はその様子をずーっと見ている [演目] [しおりを挟む] |