凶暴狼とビー玉さん 「きらきら…ふむむ……」 白く綺麗な瞳を輝かせながら何かを見ている芙蓉 「そんなに気に入ったの?」 「うん。僕きらきらしたの、好きなんだ。何でか、分かる?」 「いや…わかんない」 「僕も何でキラキラしたのが好き、なのか分からないんだー」 「………」 現在、白椿の宿泊部屋に芙蓉が来ている 彼はベッドに腰かけている白椿の前にしゃがみ 白椿の小指にはまっている指輪をちょんちょんと突く なぜだか芙蓉の執事である丁花は来ておらず、どうやら勝手に来たらしい 「執事もつけないでこんなところに来ていいの?」 「あ…忘れてた。でも大丈夫。あと10秒ぐらいで亨くんここに来るから。…ね」 芙蓉はそういうと目の前にいる白椿の顔の右側を見ている 「?」 白椿はその目線を追って振り返るがもちろんそこには何もない 「ふふふ…ピヨピヨ」 「予知の妖術なの?」 「あー…うー…ちょっと違う、かな?」 軽く返事をしながら芙蓉はベットの後ろに回り隠れ始めた その瞬間部屋がノックされる 「はい」 漆原がドアを開けると、そこには芙蓉の執事の丁花が肩で息をして立っている 彼のツンツン黒髪がかなり乱れている 「おい…はぁっ…うちの藩主来てねぇか…」 「………」 漆原は白椿の方を見て肩をすくめる 「さぁ」 白椿はクスクスと笑いながら丁花を見る 「…あぁ?…すんすん」 丁花は機嫌悪そうに片眉をあげると鼻を利かせ始める 「いるだろ。入っていいか?」 「どうぞ」 白椿の許しを得た丁花はずんずんと部屋に入ってくると一直線にベッドの裏側に回る 「何してんだよオイ!!」 「あらら…見つかっちゃった」 芙蓉は丁花に見つかるとベッドにピョンッと飛び乗りそのまま走っていって白椿の後ろに隠れる 「待てコラ!!!!」 白椿の前に走りこんできた丁花は左右に逃げ回る芙蓉を追いかけている というか丁花、藩主に向かって『待てコラ』って… 「まーたーなーいっ」 「お前ほんっとにいい加減にしろよ!どんだけ探したと思ってんだよ!!」 「知らなーい」 「あああああああ!!!!」 怒りマックスの丁花はしっぽの毛をギャーッと逆立てている それに対して芙蓉は、自分を捕まえようとしてくる丁花の手をサッサとかわしている このような状態は慣れているようだ 「こらこら芙蓉。丁花は心配してきてくれたんだぞ?言うこと聞かねば」 「気が休まらねぇっつーの!こっち来い!」 「わー」 なおも逃げ続け白椿の元から離れた芙蓉は漆原にぶつかり… 「うぐぅ……」 芙蓉、漆原によって捕獲 首の後ろの襟を掴まれた芙蓉は一気におとなしくなる 「白椿様の部屋で暴れられては困ります」 「ごめんな、さい」 素直な芙蓉は襟を掴まれ、うなだれている 暴れすぎて叱られた猫のようだ 「ちっ…余計なお世話だっつーの!」 丁花は漆原から芙蓉をぶんどるとお礼も言わずに睨みつけた 「おやおや…とんでもなく気性が荒いですね。猫みたいです」 「あんなもんと一緒にすんな!」 「似たようなもんじゃないですか」 「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ…」 丁花は自分より背が高い漆原にメンチをきっている 「まぁまぁ落ち着きなさいな」 白椿はそういうと丁花の尻尾をちょんっと触る 「ば、馬鹿野郎!触んな!!」 丁花は体をビクッとさせると芙蓉を離し白椿の方に怒鳴りつける [演目] [しおりを挟む] |