「力…治せっかもしれんけん…」

千歳の不安げな表情から、安易に治せるものではないことが伺えた。
だが、それでも良かった。誰も傷つけずに済むのなら。もう遅いかもしれないが白石と一緒にいられる道があれば、勝算1%だろうと掛けてやる。

「なんしたらええんや」
「力を封じ込めったい…ばってん簡単にはいかんけん、一回九州にば来てもらうことになっけど」
「わかった、行く」

迷いはなかった。
早く終わらせて、早く白石と共に居たかった。ちんたらしている余裕などない。しかし、千歳はまだ迷いがあるらしく、言うか言わまいかの表情をしていたが、少ししてから決心をしたかのように口を開いた。

「…ただ、死ぬかもしれんたい」
「……」
「謙也のは大きすぎったい、だけんリスクも高い…もしかしたら眠り続けっかもしれんたい。婆ちゃんが昔、眠りと闇は繋がっとう話してくれて…かなり辛かことを…」
「それでもええ」
「謙也…」
「俺は死なん、ずっと居ってくれるっちゅーて言ってくれた奴がおるから…せやから、もし眠っても起きる。何年経とうと…」

絶対に。
揺るぎはなかった。しかし、死ぬ気も永遠に眠る気もない。ただ、この力を捨てて一緒に居ることができる奴のことだけを考えた。


「連れてって」




最後に残したのは手紙だけでごめん。しかも、初めてだから纏まりがないものになってしまってごめん。
ほんとは会って話したかったけど今は無理だから、この紙切れだけを読んでください。

もし帰ってきたら

またいつか会いましょう。












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