謙也は俺が好きだ。

自惚れとか自意識過剰とかそんなのではない。現に、テニス部の面子には大抵バレている。もちろん金太郎は除くが。俺もそこまで鈍感ではないから、謙也の好意にはすぐに気がついた。
謙也には悪いが、俺は"友達"としてしか見れない。
謙也は人を惹き付ける魅力がある。人への気配りも優しさも全て間近で見てきた。謙也はいつもキラキラしていた、触ってしまったらすぐに汚れてしまいそうなほどに。それほど、魅力的だった。けど、それが恋愛の方向へ向くかというのは、また別の話だと思う。
俺と謙也はチームメイトでクラスメイトで友達だ。それ以上それ以下でもない。
謙也も何も言ってこないし、このまま俺は今までの関係でいられると思っていた。だが、現実はそんなにうまくいかないのは分かっている。
今、俺は謙也に呼び出されている。顔を赤らめて俯いている姿は、告白をしてくる女子と変わらない。ただ、何かいつもと違う焦燥感と緊張感が走った。
(なんで俺が緊張しとんや…)
そしてなにをこんなに焦っているのか、きっと目の前でもじもじしている男に聞いてもわからないだろう。じんわりと汗ばんだ手をズボンに擦り付けた。

「あの…その白石」

覚悟を決めたのか謙也は顔を俯かせたままゆっくりと口を開いた。不安気に揺れる声に耳を澄ました。

「キモいって思うかも知れへんけど…」

ふるふると震える肩を俺はただただ見つめていた。すると、謙也はゆっくりと顔を上げ俺のをみた。視線がぶつかった瞬間、時間が止まったかのような錯覚をおこした。

「俺な、白石のこと好きやねん」

どくりと心臓が大きく跳ねた。なんだこの反応は。止むことを知らないかのように、心臓はペースを上げていく。違う、こんな筈じゃない。と何度も何度も頭の中で繰り返すが、視線は謙也を捕らえたまま動こうとはしない。予想外の体の反応に自分自身がついていかなかった。

「謙也…あのな…」
「あ、これ気にせんといてな!!白石とはこれからもええ友達でいたいし…!自分にケジメつけたかっただけやから…ごめん変なこと言って…気にせんといてな」

途中涙混じりの声になったが、最後はニコリと無理に笑った笑顔を向けられた。
先程までうるさく音を立てていた心臓は、ズキリと痛んだ。なんなんだ一体。
視線の先にいる謙也は、肩を震わせ、ごめん、とまた呟いた。謙也は机の上に置いていた通学カバンを手早く手に取り、ほなまた明日、と言って走り去っていった。走り去る姿を俺はただただ呆然と眺めていた。



『謙也…あのな…』

口が勝手に動いていた。俺はあのとき何を言おうとしたのだろうか。






本当は最初から気づいている。






fin










くぎぎ…中途半端で終わってしまった><
続き…書きたい…な…←




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