白石→→謙也
白石は結婚してます
オリキャラ注意
息子視点




父さんは僕から見たらすごくかっこよかった。仕事も出来て、おまけに顔だってテレビに出ている人よりかっこいい。それに、すごい優しいんだ。最近では僕にテニスを教えてくれる。僕の自慢の父さん。
今日は、ちゃんとした服を着せられて父さんと母さんと3人でお食事会とかってやつに来ていた。母さんの父さん、えっとお爺ちゃんが主催したパーティーで見たことのない人数の人で賑わっていた。母さんはお爺ちゃんのところに行ってしまって僕と父さんは挨拶周りをしていた。色んな物に目移りしてキョロキョロしていると父さんに手を繋がれた。

「ボーとしとったらアカンで」
「うん!」

父さんは優しく微笑んだ。父さんの笑った顔は好きだ、すごく綺麗ですごく暖かい。そんな父さんが、ハッと何かに気づいたように体を強張らせた。

「あ、白石!久しぶりやな!元気しとったか?あ、今は白石や無いんやったな」
「久しぶり、いや白石でええよ」

父さんの顔を覗くと僕の方なんて全く見てなくて今来た男の人をずっと見ていた。父さんは僕に向けた笑顔とは、また違う微笑みを浮かべていた。母さんにも僕にも向けられたことのないそれは今まで見たもの以上に綺麗なものだった。

「堪忍な、せやかて自分が俺を結婚式に呼んでくれんかったのがアカンのやで。ユウジから聞いてビックリしたわ」
「あ、いや忙しいかな思って」
「お前のとこの義父が俺んとこの病院通ってなかったら会うことなかったやろな。せや子供できたんやろ?その子?」
「……」

繋がれた父さんの手が汗ばんでいるいることに気づいた、父さんがコチラをちらりと見た。申し訳なさそうに寄越す視線とかち合った。

「名前は?」
「…けん、た」

一瞬耳を疑った。

(けんたって誰?僕の名前じゃないよ。父さんこっち見て。父さんなんで嘘をついたの?)

向ける視線に父さんは反応を寄越してくれなかった。

「へぇ、俺と一文字違いやん。よろしゅうな、けんたくん」

男の人は機嫌良さそうに手を伸ばしてきた。その手を握ると暖かくて、僕はなぜかもっと焦った。父は僕の手を良く握ってくれる。暖かい、と笑って。

「せや、白石ちょいあっちの方で飲まん?けんた君も一緒に。おじちゃんジュース取って来たろうか?」
「いい、僕…母さんのとこに行きます」

父さんと繋いだ手を離してその場を後にしようとした。だがすぐに耳に入ってきた名前に思わず体が硬直した。

「行こか、謙也」

父さん、それ僕の名前だよ。










end









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