ともに生きた時間は、とても短いものだ。
出会って、殺しあって、それから。その、ほんの短い時間だ。一緒にいて、生きた時間というものは。

あの頃は、まだ互いに戦うことで「敵」という関係を手に入れられていた。だが、今はないのだ。なにも。何一つとして、彼とのつながりが。

「風間」

「土方」

一日に一度だけ名前を呼んで、何故だか口付けを交わして、隣に眠る。
ただ、それだけだ。
この関係多分名前はない。
けれど、一つだけわかっていることがある。
これが崩れるときは、きっと俺が死ぬときで、それまでは彼は必ず隣にいる。
確証はなにのに、ただそう信じられた。




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歩くたびに足元の落ち葉が割れてバリバリと音を立てた。

「なあ」

「なんだ」

「お前は、帰らなくていいのか?」

何処にだとは彼は言わなかった。しばらく黙って、手を握ってきた。特に強い力ではなかったのに、このまま折られるんじゃないかと思った。

「貴様こそ、こんなところで何をしている」

「うるせえな、ほっとけ」

真紅の瞳が見つめてきたから、ついと視線を逸らした。逸らした先には小さい虫の死骸があって、もう一度目を逸らした。




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白く染まった髪で、血塗れた顔で、それでも戦うその姿が。


(愚かだ)

血溜まりのなかに倒れた男の傍らにしゃがみこむ。

「土方、貴様はもう死にたいか?」

首をかしげる。自分の問いに。
何故こんなことをきいているのだろうか。

戸惑っていると、彼が呟いた。
血に臥してなお気高く美しく、凄絶に笑いながら。

「そんなわけねぇだろうが」

―その姿が、ただ好きで。好きで、たまらなくて。

「気に入った。
俺が貴様を生かしてやろう」

だから、




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「風間」

呼びかけて、髪を撫でる。彼も答えるように言う。

「土方」


それから互いの唇を重ねて、抱きしめて。
―この行為に、いったいどんな意味があるというのだろう。

「土方」

「なんだ?」

ああ、一日に二度も名前を呼ばれるのは初めてだ。
そんなことを思って、微笑みながら答えると、彼は意外そうな顔をして、それから笑った。


「貴様は俺だけのものだ」

「ああ」

「だから、貴様を殺すのは俺だ」

「わかってる。だから、ずっと俺の傍にいろよ」


彼の腕を取って、その白い肌に口付ける。

―俺を殺すのはこの細い腕か。
それも悪くない。




Goodbye until the dayMy darling the god of death









愛は時間じゃないよねって話。

なんか急にプロポーズする話か嫉妬する話が書きたくなったので。沖風と天風ではプロポーズ書いたので土風にしようってなって、どうせだったら嫉妬も書いちゃおうってなりました。
そんなわけで、死に嫉妬する風間さん。お前なんかにわたさねえよっっっ!っていうね。なににでも嫉妬しちゃう風間さんとかすごい可愛いと思うんですよ。でも流石に死はちょっと行きすぎですね・・・・:可愛らしさの欠片もない。

最後の英語は、「そのときまでさようなら。私の愛しい死神」です。つづりあってるかはわかりません。