死ぬときは殺せ。

彼はことあるごとに言う。
それは何気ない会話の時だったり、睦言のついでだったり。
そのたびに土方は言う。ああ、殺してやるよ、と。
そうすると彼は満足そうに笑った。




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土方の最愛の思い人は、ヒトとは少々変わった生き物だ。
例えば、治癒力や腕力。他にも様々なものが違う。

けれど種族が違っても、風間が土方にとって大切な存在であることには変わりが無いので、土方は特に気にしていない。
それでも、一つだけ気にかかっていることがあった。

寿命だ。

人間の命はただでさえ短く、その上土方は羅刹となった身である。
鬼の寿命とは比べ物にならないほど短い。
だから、土方は風間を置いていくことになる。

いつだったか、それを風間に言ったことがある。
軽い調子で、「お前らは寿命が長くていいな」と。
風間は少しだけ眉を顰めて、馬鹿にしたように笑って、それからぽつりぽつりと語り始めた。

今の鬼の寿命は、人間とそう変わらない。
だんだんと、直系の血が薄れてきていることが原因だそうだ。

それを聞いて安心したのもつかの間、風間はさらりと衝撃的なことを呟いた。

「俺はもう二百年ほどは生きているが」

だから、貴様が死ぬときは俺も殺せと。




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桜の舞う道を歩きながら、隣を歩く風間に言う。

「・・・もう二百歳こえてるっつうなら、てめぇが先に死ぬ可能性もあるんじゃねぇか」

「・・・・・・」

風間は土方を一瞥した後、何も答えずに上を見上げた。
土方もつられて上を見る。


薄桃色の花弁が、風にそよぐ。


思い出すな。
どちらともつかず呟いた。

あの戦いの後、二人は身を隠して生活するようになったのだ。
今のところは穏やかな日々が続いている。だから、どっちがさきに死ぬ、などと話してはいるが、殺される可能性など想定していない。

あの頃を考えると、ありえないくらいに平和だ。


「・・・そのときは、そのときだ」


ふいに風間が呟くように言った。
一瞬なんのことだったかと思ったが、すぐに思い出して言う。

「適当だな」



風間の髪についた花弁をとってやりながら笑う。
彼も、上を見上げたまま笑っていた。




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死ぬときは殺せ。

彼はことあるごとに言う。
それは何気ない会話の時だったり、睦言のついでだったり。
そのたびに土方は言う。ああ、殺してやるよ、と。
そうすると彼は満足そうに笑った。




 こんな歪で優しい幸せを、壊す気など毛頭ない









それが他人からみたら異常でも、本人達が幸せならそれは幸せで、それを否定しても無駄ですよねって話。多分。
最初なに書きたかったのか忘れてすごく短くなったorz
うん。
ところで土方さんのキャラとか口調とかわかりません。
なんか土風ってケンカップルのイメージがあるんですが、土方さんルートの最期の、戦うとこ終わったあとはバカップルになると思います。
そんな妄想です。
すみません自分でも何言ってるかわかりません。

あ、寿命どうこういうのは、なんかえっと、設定集?みたいなのに書いてあったような。間違ってたらすみません。
今の鬼はもう人間とほとんど変わんないんだよ〜みたいなことが書いてあったので、「風間さんだけ長かったら萌えるな」って思っただけです。

あとがき長くてすみません。終わります。