明日世界征服 | ナノ
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(はれんちです)









「コマチ」

「はいはーい」

「コマチ」

「はいはい」


眺めているだけでとろけてしまいそうなほど愛らしくて仕方のないたまきの寝顔。ほんのり赤く染まる頬を優しく撫でながら、ほのぼのとした気持ちに溺れていると、イタチにうしろから力強く抱きしめられた。彼の言わんとする事はわかる。よーくわかる。
いつもより幾分も弱々しいその声をイタチはどんな顔で発しているのだろうと考えると何だか滑稽でわざと適当にあしらうような返事を続けていると、私を抱きしめる彼の腕の力が甘えるように強くなっていった。

「どうしたのイタチ?」
「…」

さすがにそろそろ可哀想かしらと思った矢先、私の体を包み込む彼の腕が上へ上へとのぼり、あっという間にその手のひらで胸を包み込んだ。
性急なその動作に私はあたふたして身体をねじるも、イタチはお構いなしに私の胸をやわやわともみ続ける。

「久しぶりの、感触だな」
「もう…」
「このまま…良いか?」

イタチは私の返事を待つこともせず、軽々と私を抱き上げベッドへと向かった。よっぽど欲求不満なのねイタチ。目をぱちくりさせて下から彼の顔を見上げる。ジトッと絡みつくような視線は、新米パパとして日々頑張るいつものイタチでも、ひたすらに任務を遂行するあのクールなイタチでもない。ひとりの雄としての、本能に従順な視線なのだ。

いつもよりやや乱暴にベッドに下ろされた後、そそくさと私に馬乗りになるイタチの腕を戸惑いながら掴んだ。

「たまきがすぐそばにいるのに」
「コマチが声を我慢すれば大丈夫だ」
「そんなこと言ったって…」
「ああでも、コマチの声が聞けないのはあまりにも残念だ。やっぱり我慢せずに声をあげてくれ」
「たまきが起きちゃうじゃない!」
「……大丈夫だ」

何を根拠に大丈夫だなんて…と反論しようとすればイタチの唇に口を塞がれてしまって最早何も言えない。熱い彼の舌に追いかけられるような情熱的なキスに私の口から零れるのは、イタチを余計煽ってしまうような甘ったるい吐息。意識してるわけでもないのにあっという間にこんな風にさせられるなんて、やはり本能である。

「い、イタチ…当たってる…」
「…俺も男、だからな」

ぐいぐいと下半身を私に押し付けてくるイタチに、恥ずかしくて思わず目を背ける。

たまきが生まれてからというもの、どうしてもお互いに構う時間がとれないものである。私の生活は必然的にたまき中心の生活になった。朝から晩まで、寝てる間もひたすらにたまきに振り回される毎日になってしまってはもう旦那のことを思いやる暇はない。一方でイタチの方も父親として慣れない手つきでたまきの面倒を見てくれるものの、育児のため休みをもらった私とは違いいつも通りに任務に赴きアジトにいない日も多い。彼も忙しいのだ。夫婦と営みを持てないのを寂しいと思う気持ちは二人同じ。ただ、あれだ。やっぱり男の人っていうのは本能に逆らえないでしょう。身体のつくりだってそうだし。
堪ってたんだなあ…なんて、まるで他人事のように考えているうちにあっという間にブラを外されていた。無造作にベッドのわきに放り出された下着。いつもとは違い少々下品なくらいに積極的なイタチにわたしはされるがままである。

「ん…うぅ…」

胸の頂を口に含んで愛撫される。ぬるぬるとした舌が頂をかすめ、押しつぶそうとする度に思わず身体がびくびくと反応する。ぺちゃぺちゃと執拗になめ叩かれては頭がおかしくなってしまいそうだと思った。思わず彼を押しのけようとするもかなうはずもなく、お構いなしに今まで舐め続けていたそれを柔らかな唇ではさみ、ちゅうとわざと音をたてるように吸い上げるイタチと目が合ってしまい顏が熱くなる。ニヒルな笑みを浮かべてもう片方の乳首を指先でつままれると快感のあまり声が口から飛び出そうだった。いやいや。声をあげてなるものか。だってすぐ向こうには。

「太ももをこすり合わせて…どうしたんだ?」
「うー…んぅ」
「どうしてほしい?」
「…」

すっかり攻める気満々になってしまったイタチの手がいやらしく私の身体を撫で回す。
イタチとのセックス、嫌いじゃない。嫌いじゃないのだけれどどうしても後ろめたいのだ。
向こうのベビーベッドですやすや眠るのは愛しい愛しい我が娘。わたしは彼女のたった一人のお母さんなのだ。そんなたまきがいるすぐ傍で、すぐ横でオンナになんてなりたくない。セックスというのがまるでとんでもなく汚らわしくおぞましい行為のような気がして、今でさえ胸を埋め尽くす罪悪感にわたしは固く目をつむって頭を横に振った。

「やだ…」

イタチの瞳からギラギラとした光が消えたのがわかる。恐る恐る目を開けると、そこにはいつもの穏やかな、しかし切なげな表情を浮かべたイタチの顏。ああイタチ、わたしはそんな顔をさせたかったわけじゃないの。さっきとは違う意味の罪悪感で胸が重くなり、彼の頬に手を伸ばす。その手を取り愛おしそうに手の甲にキスを降らすイタチは私の大好きな旦那様だ。こういう場合って…どうするのかしら。世の中の夫婦の性事情を知れるものなら今すぐ知りたいと馬鹿な考えがぼんやり浮かんだ。

「命を紡ぐ、大事な行為だ」

手の甲から少し唇を放し、イタチはぽつりとつぶやいた。温かなイタチの吐息がくすぐるように手にかかるもんだから、思わず下半身がうずいてしまう。

「俺の親も祖父母も、お前の先祖も、未来に命を紡ぐために経てきた行為…だろう」
「…」
「身体の具合がすぐれないというのなら間違っても無理はさせない。しかし」
「イタチ…」
「ただ後ろめたく思っているだけというなら…俺のわがままに付き合ってくれないか」

恥ずべき行為ではないだから、と少し情けないような笑顔をイタチは浮かべた。それから私の背中に腕を回し、再び力強く抱きしめられ、息も苦しくなるような温かい抱擁に何故か胸が軽くなったような心地がした。命を紡ぐ、とか大それた単語を出して、結局は「俺のわがまま」だなんて…まるで子供ねイタチ。いつも凛として隙のないイタチがこうも人間味あふれる姿になると、私はうっかり何もかも受け止めてしまうのだ。だってそれ、わたしの前だけでしょう…?世界でたった一人だけ、私だけの特権。ああ、いや。たまきの前でも、かもね。
クスクスの彼の腕の中で笑い始めたわたしをイタチは照れくさいような顔で見つめて、逃げるように首筋に顏を埋めた。ちゅ…ちゅ…と可愛らしい音をたてながら私の首筋を滑るようにうごめくイタチの唇が心地よくて、彼の背中に腕を回した。

「いいか…?」
「しょうがないなあ」

笑いながらそう答えると、イタチの手が申し訳なさそうに私の下半身へと向かった。一瞬だけたまきの眠るベビーベッドを見やり、彼女を起こさないようになんとしても声を我慢しようと、ひっそり心に決める。割れ目に指を潜らせるイタチの腕をつかみ、上半身を起き上がらせた。

「イタチの…舐めてあげる」
「いや…」

まさか拒否されるとも思わなかったので、思わず「へ?」とずいぶん間の抜けた声がでてしまった。イタチが舐められるのは好きだと私は知っている。目をぱちぱちさせてイタチを見つめていると、彼は小さく口を開いた。

「早く…挿れたいんだ…」

まさかのどストレート…!すかしたような顔を浮かべつつも言い辛そうに言葉を放ったイタチ。ここまで積極的だとこう…そこまで我慢させていたのかと逆になんだか申し訳ない気持ちになってきてしまう。びっくりしてしばらく頭が真っ白になっていた私だったが、状況を頭の中で反芻してみるとなんだか耐えられないくらいとっても恥ずかしくなって今度は顏を真っ赤にした。気まずい沈黙である。

「あ、えっと…」
「…」

こんな気まずいセックスがあってたまるか!沈黙に焦った私はひとしきり目を泳がせた後、グッと体に力を入れた。

「挿れて…イタチ」

既に何も身に着けていない下半身であるにも関わらず、そっと足を開いてそこを彼に向ける。我ながらなんとも下品な行動ではある。しまったイタチに呆れられてしまう、と少し遅れて理解して弁解せねばと足を閉じようとした時、瞬時に覆いかぶさり私の唇を奪うイタチ。荒々しく重ねられる唇からこぼれる彼を息はひどく乱れていて、私は驚きで身を縮こませてしまった。これはだいぶ彼の欲を煽ってしまったようだと、わたしが後悔する間もなくイタチのそれが下半身にあてがわれ、遠慮もなく中へと侵入していく。

「くっ…コマチ」
「や…ぁ、」

いつもからは考えられないようなその激しい動きに私は息をするのもやっとである。挿れ始めは押さえつけられるような鈍い痛みがあったものの、次第にそれも快楽に変わる。声を我慢しなくてはならないのに体が酸素を求めるもんだから、彼の熱いそれがぬるぬると奥の固いところを突くたびに、わたしは喉を詰まらせるしかない。

「もちょっと…ゆっくり…」

そう言うとイタチは我に返ったように体の動きを止め、わたしを見遣った。すまない、と独り言のように零した後、彼は未だ身に着けていた上半身の衣服を脱ぎ捨てた。彼がズボンを脱ぐこともせず、ただそれをずらして行為に及ぶなど今までになくて、とても変な感覚であった。しかしイタチはわたしの中にいれたソレを抜く気は無いようで、ズボンも一度手をかけたはもののこの体制で脱ぐのは困難だと判断したのだろう、結局脱ぎもせずに再び腰を動かしはじめた。

「たまにはこういうのもいいだろう」

こういうの、という台詞がこの場合いったい何を示すのかはさっぱり見当もつかないが、腰を振るイタチが心なしか楽しそうで問い詰める気も失せてしまった。さっきよりかいくらか落ち着いたものの、やはり激しいその動きにわたしはシーツをギュッと強く握りしめる他ない。ちらっとベビーベッドのほうを見てたまきが起きてないことを願い、諦めたように目を閉じた。

「んぁ…ん、う」
「…っ」

再びだんだんと激しくなってくるイタチの動きに、わたしは意識が朦朧としていた。男性と違ってたまりはしないものの、やはり久しぶりのセックスというのは中々刺激が強くて参ってしまいそうだ。出入りするイタチのそれが私の中をこすりあげる、何とも言えないその感覚に足がガクガク震えた。今ではもはや触れ合う肌と肌の感触にでさえ快感を感じてしまって、まるで赤ん坊のように口からよだれがこぼれる。

「い、イタチ…下、さわってっ」

おねだりだなんて私までおかしくなってしまったようだ。彼の腕をつかみ下半身に導くと、イタチは遠慮もなくぷっくりと膨れた蕾にふれた。
こすりあげるように上下に指ではじかれると、「ああんっ」と思わず大きな声をあげてしまった。慌てて口元を手で押さえるも、イタチはやはりそれが気に食わなかったようで、空いているもう片方の手で私の手をどけてしまった。抑えようもなくあふれるように喉から飛び出してくる声にイタチは気をよくしたのか、イタチは指の動きも腰の動きもなお一層激しくさせた。

「え、あ、ああ」
「う…は、あ」
「い、いたち!いたち!もう、あ、いきそうっいっちゃう!」
「ああ、おれも、だ」
「いっちゃういっちゃうっ…あぁあ」
「くっ…」









(よ、よかった…たまき起きてない)
(別に起きていても、まだ物心もついてないのだし大丈夫だろう)
(大丈夫じゃなーい!イタチのバカ!)
(…!)