闇鍋 | ナノ 夢主:シンちゃんの旧知の社畜。ようやくアラシヤマを口説き落としてお付き合い開始。
シンちゃん:二人が付き合いだしてから自分のモヤモヤに気付く。

とりあえず、これがわかってればおk
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 当初はあいつが俺の為に勝手に死ななければそれでいいと思っていた。そのため、明千代とくっ付こうが、結婚しようがどうでも良かった、はずなんだ。あいつに対する気持ちはまぁ、あり得ないと思っていたけどどうしようも無くて、俺の立場とか諸々考えて見なかった事にした。昔の旧知があいつに惚れ込んでしまう程、まぁミリョクテキなのは確かだとは思う。友達云々とかはまぁ置いといて。つか置いておかせてくれ。話が進まねぇ。

 ガキの頃から付き合いがあった明千代は本当に淡泊で、恋色沙汰なんて縁がないものだと思っていたさ。どこかズレてて、こちらがからかい半分でコナかけてみたらタイプじゃねぇとか抜かしやがる。アレが本当に岡惚れするとは思ってもみなかったんだ。持ち前の頑固さと真面目さでずっとあいつを口説き続けていた。それがようやく実って今に至る。俺としては、まぁ俺にまとわりつく事が無いのなら至極どうでも良い。

 そう、思い込む事にした。

 比喩だが、失ってから初めて気付くものがある、なんてよく言ったものだ。どうにも俺は後手後手に回ることが多いらしい。あいつが初めて、俺以外の他の誰かのものになった、というのは存外気落ちさせる事に当てはまるらしい。キンタローに指摘されて気付いたよ。まさか俺が、ってな。

「まぁ、貴方は昔っから負けず嫌いでしたらから、その気持ちを認めるにも大変でしたでしょうね」
 ご愁傷様です、と明千代はカップを置いた。
「嫌味かテメェ」
「まさか。今でもアラシヤマくんの心の半数以上は貴方の事なんですから逆に私が嫉妬で狂いそうな程ですよ。羨ましい」
「お前、それ本気で言ってる?」
「勿論」
 
 確かに、明千代はあいつの視界に入るため、あえて、あいつの信条や生き様を自分の心を殺してまで受け入れた。恋する女は強いものなのか、彼女の心が鋼鉄で出来ているのかはわかりかねるが。

「彼を『変える』なんて思わない方が良いですよ。自分の心だって思うように行かないものですから。彼の全てを知る、なんて烏滸がましいにも程がありますし。今は、あの人の側に居られるなら出来ることをするしかない。歩み寄りは大事です」
 好きな人には嫌われたくないですから、と明千代は笑った。
「今でこそ、私と彼は恋人関係に至れましたけど、この先なんて誰にもわからないものです」
 返した書類を丁重にまとめ、明千代は席を立つ。
「……随分と弱気だナ?」
「そりゃあ勿論。貴方が本気になってあるがままの彼を受け入れられてしまえば、私なんて大切にしてくれますけどお払い箱みたいなものですから」
「あいつ、俺に求めてるのは『オトモダチ』だろうが」
「そうですね。そこから関係を変えて築いて行くのはどちらにせよ貴方次第なんですよ?」

「私だって、彼との関係はお友達から始めましたから。関係の積み重ねと順番は大事です」

 それでは、と明千代は退室して俺だけが残された。


 誰かのために、なんて。
 家族やパプワたち以外にはあんまり考えられなかった。


 この気持ちに蓋をし続けて、手遅れになった方が、互いの為になると思う。
明千代の言い分では俺が本気を出されては怖いのだという。かといって三人よろしくやるなんて事はできないだろうし。


 本当、面倒くせぇな、俺も明千代も、アラシヤマも。


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夢主、シンちゃんが立ち上がってくるのは別に構いやしない。
アラシヤマとの結婚とかも関係の延長戦でしかないし、彼が彼らしく、また彼の側に寄り添えるのであればそれでも構わないと思っているとても面倒くさい性分。
勿論、夢中になってくれたらそれはそれで嬉しい。
嫉妬はするけど、同担拒否とはちょっと違うそんなお話。
夢と腐を混ぜるとこんな事になる。

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