私のかわいい大切さん | ナノ
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 かわいい三つ子

すやすやと眠る妹のコンポートを抱っこしながらナナシはペロスペローに小さな声で一生懸命話し掛けていた。

「もうすぐ新しい家族が増えるんだよー」
「ふえるの?」
「そう。妹かな?弟かな?ペロスペローはどっちがいい?」
「つぎはおとうとがいい!ペロリン♪」

ペロスペローが大きな声で叫んだのでナナシは笑いながら、しーと人差し指でペロスペローの口を押さえた。

「コンポートが起きちゃうから、ちっちゃい声でお話しようね?」
「あ、ごめんなさい」

しょんぼりとするペロスペローの頭をナナシはそっと撫でてやる。

「起きてないから大丈夫……あ」

ナナシはちょっと待っててねと言うとコンポートを抱えたままベッドまで飛んでいき、そっとコンポートをベッドに寝かせるとペロスペローの所まですぐに戻った。

「行こうペロスペロー!」
「どこに?」
「弟たちが産まれたよ!」
「おとうと!?」
「そう。三人も!」

そう言ってナナシが笑うとペロスペローも嬉しそうに笑う。ナナシはペロスペローの手を引いてゆっくりと走り部屋を飛び出した。





まだ部屋の中にはリンリンがいるのか、ナナシは廊下の角で立ち止まり動かなくなってしまった。
ペロスペローはナナシが止まった事が何故だかわからないので、どうしたの?と顔を覗き込んでいる。

「お姉ちゃんはまだ行けないから、ペロスペロー先に行っておいで」
「え?おねえちゃんといっしょがいい……」

ペロスペローはぎゅっとナナシの手を掴んだまま離そうとしない。

「……じゃあ、ここでお姉ちゃんと一緒に待つ?」
「まつ!」

ペロスペローは元気良く答えた。じゃあお座りして待とうとナナシがその場にペタンと座ると、ペロスペローもすぐ隣に笑いながら座った。





それからどれくらいたっただろうか。ペロスペローはナナシの膝に頭を乗せてすやすやと眠っている。
ナナシは早く新しい家族に会いたいなーと思いながらペロスペローの頭を優しく撫でてやっていたら、ガチャリと扉が開いた。ナナシがこっそりと角から顔を出せばリンリンが出て来て自身の部屋の方へと歩いて行くのが見えた。
やった!と思いながらナナシはペロスペローを優しく起こす。

「ペロスペロー、起きて!」
「う、うーん、まだ、ねるゥ」

ペロスペローはナナシの服を掴みながらぐりぐりと頭を押し付けてくる。

「弟に会えるんだよ?」
「えー?……………あ、そうだった!」

ペロスペローは勢い良く起き上がるとナナシの手を掴み、はやくー!とナナシを立たせようとするので、ナナシはすぐに立ち上がり弟たちのいる部屋へと向かった。

部屋の扉をバンバンと叩くと弟たちの世話係がすぐに扉を開けてくれた。

「まあ、ナナシ様にペロスペロー様!」
「弟は?産まれたでしょ!?三人!」
「おとうと見たい!」

二人が目をキラキラと輝かせながら話しているので世話係は笑いながらこっちですよーと部屋へと入れてくれた。
そして部屋に入って二人は驚いた。

「わァ」
「た、立ってる」

まだ産まれたばかりの赤ん坊の一人が立っていたのだ。少しフラフラとしているのだが、誰かに支えられる事はなく自分の力だけで立っている。

「凄いねェ」
「すごーい!ペロリン♪」

ペロスペローはきゃっきゃっと嬉しそうに笑いながらベッドに駆け寄った。他の赤ん坊も立ち上がってはいないが元気良くゴロゴロ転がっている。

「ねェ!」
「はい?なんですか?」
「この子たちのお名前は?」
「あ、カタクリ様、ダイフク様、オーブン様ですよー」

世話係が一人一人指を指しながら教えてくれた。
ナナシは忘れないように繰り返し三人の名前を言っている。

「カタクリ、ダイフク、オーブン、お姉ちゃんだよー」

ナナシもベッドへとふわふわと飛んでいき、ベッドの前に着地した。

「かわいいねー」

ナナシはにっこりと笑った。ペロスペローも隣でうん!と頷いている。
カタクリはしばらく黙ってナナシの事を見詰めていたのだが、ゆっくりフラフラと歩きながらナナシの前までやってきた。

「カタク……」
「うっ!」
「いたっ!?」

カタクリはナナシに頭突きをしてきた。しかも凄い勢いだったので、ナナシはそのまま後ろに倒れた。もちろんカタクリもその勢いのままベッドから落ちたのだが、ナナシはしっかりとカタクリを抱き留めた。
それを見ていた世話係たちは大変と慌ててナナシとカタクリに駆け寄った。ペロスペローも隣で不安そうにナナシを見ている。

「お、おねえちゃんだいじょーぶ!?」
「だ、大丈夫ですか!?」
「い、痛い」
「うっ、うー!!」
「……あ」

カタクリは楽しそうに笑っていた。もしかしたらカタクリは頭突きをしたかったのではなく、ナナシに抱きつきたかったのかもしれない。
ナナシは嬉しそうに笑った。

「かわいいから大丈夫ー!」
「まあまあ!」
「あうー!」
「あー!」
「わ、わわわ!うっ!」
「うぐっ!?」

今度はダイフクとオーブンが転がりながらベッドから落ちてきた。一人はナナシの上に、もう一人はペロスペローの上にだ。
そして三つ子はきゃっきゃっと楽しそうに笑っている。

「元気いっぱいだねー」

ナナシは三つ子の頭を優しく撫でた。

後日ベッドには柵が設置されたのだった。















「あ、大丈夫だったペロスペロー?」
「……うん」
痛かっただろうにペロスペローはぐっと涙を堪えている。
「泣いてもいいんだよ?」
「おれもっとおにいちゃんになったから、おねえちゃんみたいに、なかない……」
「すごーいペロスペロー!」
「え?す、すごい?ほんと?」
「本当!いっぱーい、いい子いい子しちゃう!」
「え、えへへへ!」










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赤ん坊は産まれてすぐには笑いませんけど、一応カタクリは産まれた瞬間立ち上がったってのはちょっと信じてるから、笑うのくらい余裕でしょと思って書きました。一緒に産まれたダイフクとオーブンもね!

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