これは恋ではありません | ナノ
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 14:可愛いとは

ナナシはドーナツの話で目をキラキラと輝かせているカタクリの反応が可愛いと思い『可愛いですね』と言ったのだが、カタクリの中では可愛いという言葉は見た目に使うものだと思っているので、自分の見た目が可愛いとナナシに言われたと思い込んでいた。
もちろんカタクリは自分の見た目が可愛いなんて今まで思った事はない。でもナナシが間違った事を言うはずがないとカタクリは思っているので、考えれば考えるほど可愛いがなんなのかわからなくなっていた。

悩んだカタクリは電伝虫を取り出し誰かに連絡をしだした。

「こんな時間にどうした?ペロリン♪」

カタクリが連絡を入れたのはペロスペローだった。

「今大丈夫かペロス兄?」
「ああ、大丈夫だ」
「ペロス兄は……おれの事を可愛いと思うか?」
「えェ?なんだ突然……」
「答えてくれペロス兄」
「そりゃあ……お前は可愛いよ。ペロリン♪」
「そ、そうなのか……!」

ペロスペローはシャーロット家長男、兄弟思いの優しい兄だ。そんな相手に自分が可愛いかと聞けば、カタクリは弟なのだから可愛いと答えるに決まっている。カタクリは完全に確認する相手と聞き方を間違えた。

「こんな時間に悪かった。ありがとうペロス兄」
「え?あ、ああ」

ガチャっと電伝虫を切ったカタクリは腕を組んだ。

「おれは可愛かったのか」

カタクリは完全に自分の見た目が可愛いのだと勘違いをしてしまった。





次の日。カタクリはダイフクとオーブンを屋敷に呼んでいた。

「今日はおれを可愛いからカッコイイにする方法を一緒に考えてくれ」
「もう意味がわからない」
「帰りてェ」

二人は大至急来てくれと慌てた様子のカタクリに言われて何かあったのかと心配になり急いで来たのだ。それなのに部屋に入ればお菓子をもしゃもしゃと食べているカタクリ。その時点で少し腹が立っていたのに、意味のわからない事を一緒に考えてくれと言われた二人は溜め息をつきながら席を立つ。

「あ!おい、待て!」
「待たない」
「おれはまだ遠征中に溜まっちまった仕事が終わってねェ」
「可愛いおれが困ってるんだぞ!?」
「可愛くねェよ!!!」

二人はハモった。

「いや、おれは可愛いんだ」
「どこがだよ!!?」
「もちろん見た目だ」
「は!?それ言った奴、頭がイカれてんじゃ……」
「ナナシさんの悪口を言うんじゃねェ!!!」
「ふげー!!!」
「ダ、ダイフクー!!」

カタクリはダイフクの事を殴った。

「またあいつかよ!」
「お前本当あいつが絡むとイカれちまうな……」
「ほら早く席につけ」

これは逃げられないのだろうなと二人は諦めてイスに座り、少しでも早くこの時間を終わらすために頭を動かすことにした。
そして頭を動かすにはやっぱり甘ーいお菓子が欠かせない。カタクリは二人の好物をちゃんと用意してくれていたので、二人はテーブルの上のそれを手に取り食べながら話し始めた。

「ところで、なんでおれたちが呼ばれたんだ?」
「お前らが可愛くないからだ」

可愛いと言われたいわけではないが二人は物凄くムカついた。

「お前も本当に!可愛くないからな!?」
「だが、ナナシさんが……」
「そいつ一人だけだろ?お前の事可愛いなんて言ったの」
「ペロス兄もおれを可愛いと言った!」
「それ弟だからだろォ!!」
「……確認してみよう」

カタクリはすぐに電伝虫を出してペロスペローに連絡をした。

「またお前か?今度はなんだ?ペロリン♪」
「ペロス兄は、おれの見た目を可愛いと言ったんだよな?」
「……は?」
「昨日可愛いと言ったよな?」
「き、昨日の可愛いは見た目の事を聞いていたのか!?」
「ああ、そうだ。おれは可愛いんだよな?」

弟だから可愛いと答えたペロスペローは返答に困った。だってカタクリの見た目がカッコイイならまだしも可愛いなんて事はやっぱりない。
でもこの弟は自分の見た目のせいで妹に大ケガを負わせてしまった事があるのだ。それで口を隠すようになった。
そんな事があった弟が可愛いと言って欲しそうな感じで確認してきているのに、可愛くないなんて言えるだろうか?
優しい兄であるペロスペローには無理だった。

「あ、ああ!お前は見た目も、か、可愛いぜ!」
「そうだよな!」
「おい!!ペロス兄!!!」
「今こいつに優しくしないでくれェ!!!」
「な、なんだお前らもいたのか?」
「カッコイイって言ってやるならまだわかる!でもこんなデカイ目付きの悪い男が可愛いなんてあるわけねェだろォ!?」
「い、いや、そ、そんな事、は…………お、おっと悪い!急ぎの仕事があるんだった!それじゃあまたな!ペロリン♪」

電伝虫はガチャッと勢いよく切られてしまった。
逃げやがったと思いながらダイフクとオーブンは電伝虫を眺めていた。















「ほらな?おれは可愛いんだ」
「んなわけあるかァ!!」
「う、うーん……流石におれも今回はあいつがイカれてんじゃねェかと……」
「だからナナシさんの悪口を言うな!!!」
「ふげー!!!」
「オ、オーブンー!!」
今度はオーブンが殴られてしまった。










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カタクリさんはカッコイイですよね。あ、メリエンダの時と照れたお顔は可愛いか。ちょっと長くなりそうなので、とりあえずここまで。思ったよりもカタクリさん暴走しませんでした。

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