短いお話 | ナノ
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 僕らの青い春A

ナナシが教室でぼーっとしていると三つ子が席の前までやって来たので、おはよーとナナシが言えば三つ子は、おうと言いながら手を出してきた。

「何よこの手は?」
「今が何月か知ってるか?」
「え?知ってるよ11月」
「じゃあ、何日か知っているか?」
「えっと、25日?」
「つーまーりー?」
「つまり…………つまり何?」
「おれたちの誕生日だろうが!!」

三つ子が大声で叫んだのでうるさと思いながらナナシは耳をふさいだ。

「大切な幼馴染みの誕生日を忘れやがって!」
「ただの幼馴染だから。大切ではないから」
「ただのってお前……薄情だぞォ!」
「チッ……うざ」
「し、舌打ちすんなよ!」

手を出したまま文句を言い続ける三つ子を見てナナシは溜め息をつきながら引き出しをごそごそと漁り始めた。
三つ子はそれに気付くと、おっ!と顔を輝かせたのだが、ナナシが取り出したのは筆箱だったので三つ子のテンションは下がる。
ナナシは筆箱からペンを取り出すとカタクリの手首を掴んで手のひらに何か書き始めた。

「はい、プレゼント」

ナナシはカタクリの手のひらにドーナツの絵を書いた。

「おまっ……」
「油性ペンで描いてあげたからなかなか消えないよ!やったね!大好きなドーナツと一緒だ!」
「油性はやめろ!!」
「うわ、カタクリ可哀想」
「しかも下手くそ」
「お前らの手のひらにもすぐに描いてやんよ」
「や、やめろよ!!」

そう叫びながらダイフクとオーブンは手を引っ込めたので、恨めしそうにカタクリは見ていた。

「おい、おれだけ可哀想だろう。お前らもプレゼント描いてもらえ」
「いやいやいや」
「そんな下手なプレゼントいらねェよ」
「ほい!豆大福完成!」
「うおー!?いつの間に!?」

いつの間にやらナナシはダイフクの手の甲に絵を描き上げていた。

「なんか汚ねェ……豆大福に失礼だ」
「うっさい!ほれ、次はオーブンよ」
「い、いらない!」

オーブンは両腕を後ろに隠したのだが、カタクリとダイフクがその腕を掴み無理矢理ナナシの前に差し出した。

「両腕に描いてやれ!!」
「でっかくな!!」
「うぎゃー!!は、放せェェェ!!」

わーわーと暴れて抵抗するオーブンなのだがカタクリとダイフクに両手でしっかりと掴まれていて逃げる事は出来ない。
ナナシは何を描こうかと少し悩んでからオーブンの両腕に文字を書き始めた。

「お、おま、これ、えェ……」

オーブンの腕には『焼き菓子』とデカデカと書かれた。ちなみに左腕に『焼き』右腕に『菓子』だ。なかなかの達筆である。
カッコイイ刺青だなと爆笑するカタクリとダイフクをオーブンは睨んでいた。

「はい、プレゼントタイムしゅーりょー」

三つ子は黙ってナナシを見詰めている。

「……何よ?」
「本当にプレゼントなしなのか?」
「ないよ」
「幼馴染みなのにかァ?」
「それ関係ない」
「……お前からのプレゼントをおれたちは楽しみにしていた」

三つ子はしょんぼりと下を向いてしまった。
ナナシは大きな溜め息をついてから鞄から何か取り出し三つ子に投げ渡した。
渡された物は可愛くラッピングされていたので三つ子は顔を上げる。

「用意してるわバーカ」
「あるならさっさと渡せよな!!!」

三つ子はハモった。
お前らが図々しいからと文句を言おうとしたのだが、嬉しそうにプレゼントを開けようとしている三つ子を見て誕生日だし今日は許してやるかと思いナナシは少し笑った。

「おめでと」
「サンキュー!」

そして三つ子はプレゼントを開けて固まってしまう。

「……なんだこれェ」
「Tシャツ」
「それはわかる。でもこの文字……」
「いいでしょ?オーダーメイドなの」
「こんなんオーダーメイドすんな!」

ナナシの渡したプレゼントはTシャツで、真ん中にデカデカと『次男』『三男』『四男』と書いてあった。

「意外と高いんだから大事に着てよ」
「いやパジャマ一択!」
「はァあ!?それ着て仲良くお出掛けしろ!」
「恥ずかしいだろうがァ!」
「恥ずかしいだァ!?もともとデカくて目立つんだから同じでしょうが!」
「ぜんっぜん違うぞこれは!!」

ぎゃーぎゃーと文句を言っている三つ子なのだが、でもその声はなんだか嬉しそうだった。















「もういい!ケーキバイキングの割引券もらったから日曜日に誘ってやろうと思ったけどやーめた!」
「え!?わ、悪かった!」
「大事に着るからよォ!」
「そ、そうだ!日曜日に着て行こう!」
「は?恥ずかしいからやめてよ」
「お前も恥ずかしいって思ってんじゃねェか!!!」
Tシャツは部屋着になりました。










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2021年誕生日記念。
お互いなんだかんだ毎年ちゃんとお祝いしてるのかも。

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