短いお話 | ナノ
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 一難去ってまた一難A

ペロスペローは告白されたあの日から、ナナシと会う時間を減らすために仕事の量を増やし、ナナシへの連絡などは全て部下を使う事にしていた。
仕事が辛くなり会う事もなければきっとすぐに気持ちは離れるだろうと思いそうしたのだが……

「ペロスペロー様書類お持ちしました!」

そんな事は全然なくて、廊下を歩いている時に満面の笑みで自分の前に立つナナシと遭遇してしまいペロスペローの顔は引きつった。

「……そ、それは他の部下に頼んだはずだぞ?」
「はい!ですから奪って持ってきました!」
「またか……」

ナナシは優秀なので仕事が増えても全然問題はなかったし、戦闘の腕もなかなかなのでこうやって他の部下から無理矢理書類を奪い取って持ってくるのだ。だから結局毎日ばっちり会っていた。

「泣いてる奴がいたから無理矢理奪うのはやめなさい」
「じゃあ最初から私に頼んでください!」
「それは出来ない」
「私は愛する人の役に立ちたいんですよ」

そう言いながらナナシは笑顔で書類を差し出してきた。こう普通に言われるとなんだかやっぱり少し照れてしまうのか、ペロスペローは顔をちょっと赤くしながら書類を受け取った。

「確認お願い出来ますか?」
「ああ。じゃあ、あとで……」
「あ、今お忙しかったですか?」
「ああ、少し……」
「では手伝います!!そうと決まればさっそくペロスペロー様のお部屋に!!」

さあさあ!と言いながら腕を引っ張ってくるナナシの目がなんだかヤバくてペロスペローすぐにその手を振りほどいた。

「い、急ぎの仕事じゃないから必要ない。うん。やっぱり書類は今ここで確認しよう。ペロリン♪」
「私の今日の下着とってもエッチなんですよ?見たくないですか?」
「えーどれどれ」

絶対に聞こえているはずなのにペロスペローは聞こえないふりをして書類を眺め始めてしまったので、ナナシは諦めたのか大きな溜め息をついた。

「すぐ確認できるように私も一緒に見ますね」

そう言うとナナシはペロスペローに近付き背伸びをして書類を覗き込む。
少し距離が近いとペロスペローは思ったのだが、身長差があるし仕方ないかとそのまま何も言わずに一緒に書類を眺める事にした。

だけど少しずつナナシの体がペロスペローにくっつき始めた。ペロスペローはちょっと嫌な予感がしてやんわりナナシの体を手で押し返すのだが、ナナシはその手を無視して更に体をくっつけてくる。

ペロスペローは冷や汗を流しながら自分が少し横に移動し距離をとってみるのだが、もちろんナナシはしっかりくっついてくる。
そんな事を繰り返しているうちに廊下の真ん中にいたはずの二人は廊下の隅までたどり着いてしまい、ペロスペローはとうとう逃げ場がなくなってしまった。

「……あー、その、ナナシ?」
「はい?不備がありましたか?」
「いや、書類は問題なさそうなんだが……ちょっと離れてもらえないか?」
「あ、お構い無く」
「私は構うんだ!さっきから胸も当たっているし……」
「当ててます」
「……は?」

固まってしまったペロスペローにナナシはそのまま抱き付き笑顔で叫び出した。

「どうですか!?ムラムラしてきましたか!?してきましたね!?では、今すぐにペロスペロー様のお部屋に行きましょう!?ね?ね!?」

グイグイと迫ってくるナナシに若干引きながらペロスペローはすぐに体を引き離した。

「お、落ち着いてくれ!」
「愛していますペロスペロー様!」
「だ、だから困るんだ!」

ナナシはペロスペローの手をそっと掴むと真剣な顔でペロスペローの目を見つめた。

「本気なんです。私は貴方の全てが愛しい」
「い、いや、だからな……」

ペロスペローの顔はどんどん赤くなっていくのだが、だけど部下であるナナシとそういう関係になるつもりはやっぱりなくて、なんと断れば諦めてくれるのかと頭を悩ませる。

ナナシはそんなペロスペローの事を黙って見つめていたのだが、しばらくするとペロスペローの服のボタンをゆっくりと外し始めた。
ペロスペローはぎょっとして慌ててナナシの手を払い除けると服をぎゅっと掴みながら後退るのだが、ナナシは手をわきわきと動かしながらペロスペローに迫っていく。

「ペロスペロー様とりあえず1回。1回だけ、ね?」
「な、な、何を一回なんだ!?」
「何ってもちろんセッ……むぐゥっ!?」
「今すぐそこに正座しなさい」

ナナシが言い終える前にペロスペローは口へとキャンディを突っ込み、そして大きな溜め息をついたのだった。















「廊下で何を考えているんだ!」
「廊下じゃなければいいんですか?」
「そういう意味じゃない!まったく……お前のせいで私はまた胃が痛いよ」
「あ、それなら問題ありません」
そう言うとナナシはポケットから胃薬を取り出し、にっこりと笑いながらペロスペローに差し出した。
「とても良く効くと評判の胃薬をご用意しました」
「……私の胃のために諦めるという選択肢はないのか?」
「微塵もないですね!!」
「……」
ペロスペローはそっと胃薬を受け取った。










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ごめん、ペロスペロー(笑)

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